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希 望  2

野原の山はすけるとん
いちめん黒い花ざかり
いやいや あれは大鴉めが
すえた腐肉をついばんでいる影

――おいしいかえ ああ ああ
――まづいのかえ ああ ああ
日暮れなんとして 風蕭々
鴉の嘆きは空を覆った

雨は大粒 エピメテさん プロメテさん
石のやかたに どるめんの上に
したたかしぐれた ぜろぜろぜろぜろぜろ
ぜろぜろぜろぜろぜろぜろぜろ 

ここはふるさと ぬれた漆黒
燐光にぶくほの明るめば
じゃり喰い蟹はからから笑った
じゃり喰い蟹は動きはじめた

【自註】
すけるとん-----されこうべ、どくろ
エピメテさん-----プロメテの弟、エピメテさんプロメテさんは大粒の雨ふりはじめる擬音。ぜろぜろぜろは雨しぐれはじめるさま。なお零の確認を含む。

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「どるめん」とは「支石墓」のこと。世界各地で見られる巨石墓の一種。作者が生まれた日本植民地であった韓国の仁川(インチョン)には、世界遺産にもなっているドルメンの公園があります。

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