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一目で魅せられた螢窯(じんじんよう)の花珊瑚の皿 (沖縄 大宜味村)

宮古島のビストロ ピエロで一目惚れしてしまったお皿の話です。食事のときに使われていたこの皿に一瞬で魅せられました。シェフにどこの皿か教えていただき、すぐに連絡をしました。

注文した創っていただいたお皿がこちらです。出来上がるまで半年くらいかかりました。作者は螢窯(じんじんよう)の山上學さんです。山上さんの創作には様々な作風がありますが、特徴の一つはこの確か「花珊瑚」と言っておられたと思うんですが、沖縄の珊瑚礁のような鮮やで自然と溶け合うような風合いです。

微妙な凹凸があります

そしてこちらの黒い皿は、2020年だったか山上さんが東京で個展を開かれたときに直接お話しながら購入させていただいたものです。これらの皿はすべて、何のためらいもなく全部普段使いさせてもらっています。

黒ベースも味わい深い
白、黒の他にブルーを基調としたものもあります


螢窯(じんじんよう)は沖縄本島の北部、大宜味村のやんばる(山原)と呼ばれる沖縄の原風景が今でも色濃く残っているエリアにあります。那覇空港から高速道路を使って2時間くらいかかります。バスを利用する場合は名護バスターミナルまで高速バス、そこから路線バスを乗り継いて、バス停からは徒歩で20分ほどやんばるの山に入った場所にあります。すぐ窯の手前にはやんばる酒造という泡盛の蔵があります。ここの泡盛も最高に美味しいです。

螢窯にはGallery TATIという山上さんのギャラリーが併設されています。周りには、やんばるから流れ出ている小川がいくつも流れています。このあたりでは本州では聞いたことがないセミが秋にはたくさん鳴いています。最初はカエルかなあと思ったくらい不思議で少し悲しげな響きの声です。沖縄と奄美に生息しているオオシマゼミと言うんだそうです。動画があったのでぜひ聞いてみてください。

オオシマゼミが森のあちこちで鳴いていて、コーラスと言うか響き渡る感じがなんとも魅力的です。ヒグラシの声が山に響く感じに少しだけ似ていますが、声の質は別物です。沖縄本島ではやんばるあたりの人が少ない場所だけにいるようで、私は離島も含めて他では聞いたことがありません。

私は10代の頃に初めて林間学校でひぐらしの声を聞いてから、ヒグラシが鳴くところに住みたいとずっと思っていたくらい好きです。それが27歳位で実現して、それからというもの4年ほどの都心生活を除いて、ずっと夏にはヒグラシ声が聞くことができるところに住んでいます。オオシマゼミはヒグラシに負けない魅力を感じます。


作者の山上さんのインタビュー記事を見つけました。「神」というのはもちろん宗教的な意味合いと言うより自然への畏敬の念というニュアンスなんだろうと思います。この地で創作活動をされているからこそ感じることだと思いますし、それだからこそ表現する作風なのだと思います。そして私はこの皿からそれを感じ取ることができるのがとても好きです。

「最近は、特にコロナウイルスの事もあって考えるのは、私より若い人達が色々な活動している”トレンド”というものを考えてますね。僕らの時代のトレンドという言葉は、世の中の最先端をひた走っているイメージがあったんですよね。でも今の若い方達が発しているトレンドは、少し様変わりしてます。それは良い意味で言うのですが、身近なものになってるんですよね。カフェを作るにしても、ムーブメントというか、今考えられることを純粋に実行することで話題になる。そのこだわりやピュアさが、オシャレな形で出回って来てるでしょう?あれはとても良い動きだと思うんです。自分を信じ切るというか。それはとても刺激になりますね。そこで、私はさらに私なりに考えていることがあって、”トレンド”ってそもそも何なんだろう?という自問に至ったんです。これは私が作家である以上、とても必要な要素として考えてました。それは、やはり神を感じる世界観だということに行き着くんです。神を感じることによって生まれる哲学や考え方の基本が無いといけないと思います。例えば阿波踊りとか、オリンピックなんかもそうですよね。神に捧げる何かだったり、神を感じるために行われることが世の中ではしっかり根を張ってるんです。ただ、現代は神が資本に変わっているのを見て来たので、それは正直面白く無いと思ってます。お金は面白みに欠けるんですよね。お金より、神にどれだけ近づくかという精神状態だとエネルギーを感じ取ることができます。改めて、その神を感じるための活動をしようと思いました。」

POLYHEDRA
螢舞うアトリエ、ジャック・タチに漂う想い。

この皿に出会うきっかけとなった宮古島のビストロ ピエロさんの話は別記事にしてあります。


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