ピッカピカに磨かれた厨房がすべてを語る町中華 (南阿佐ヶ谷 三久)
一見どこにでもありそうな、典型的な町中華なんです。
でもこの厨房の磨かれ方を見てください。この輝きを見てください。
少なくとも40年くらいは営業していると思われる、南阿佐ヶ谷、五日市街道沿いの三久さんです。大量に放出される油を全く感じさせないこの磨き上げられた厨房に、マスターの人柄と仕事ぶりが全てわかるというものです。
普通に灰皿が置かれています。タバコを吸う人もいますが、厨房の強力な換気扇で気になりません。気になる人は気になるでしょうが私は全然平気です。どちらかと言うと、最近のヒステリックなまでのタバコ封じの方が気になります。
三久での一番のおすすめは餃子です。私の人生で2番目の、圧倒的な美味しさです。
皮がパリッパリです。油多めで焼いているのでちょっとだけ揚げ物っぽいです。銀だこのたこ焼きが油多めなのと似たイメージです。そして餡はにんにくが猛烈に入っています。餃子の王将のニンニク増し餃子の倍は入ってるんじゃないかと思うくらいです。
なので、はっきりいいますがすごく匂います。電車で帰ると多分近づきたくないレベルかも知れません。ですが本当に美味しい。宇都宮系の餃子とは一線を画す、町中華系の最高峰の餃子です。
ちなみに一番は道玄坂のホテル街の入口、百軒店商店街の手前にある「喜楽」さんです。ただし改装されてからは味が落ちたような気がします。
チャーハンも最高です。真っ赤な紅生姜と真っ黄色のたくあんがポイントです。安っぽい味が最高です。
そして極めつけは緑色のきゅうりのぬか漬けです。私はぬか漬けにはうるさいです。ちゃんと適度に酸っぱく発酵していないのは論外です。塩味はキツ過ぎてはなりません。数滴醤油を垂らすのが正統派です。
こうした赤黄緑という信号カラーをチャーハンに添えるセンスが尋常ではありません。さりげなく青のりが振りかけられているところも見逃せません。
肝心のチャーハンは、実はパラパラではありません。どちらかと言うとベチャ系です。なのですが、町中華のチャーハンはこれでいいのです。
スープがこれまた最高です。町中華のラーメンスープそのものです。クリアな醤油味が決め手です。
三久さんは由利徹さんやたこ八郎さんが常連だったそうです。わたしはその時代のことは知りませんが、このエピソードはなんかとてもわかる気がします。
マスターは寡黙な方です。本当にいい仕事を丁寧にこなされています。お母さんが少し前に亡くなられてという話を聞きました。マスター、いつまでも元気で最高の餃子を食べさせてください。
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