生身の人間のコミュニケーション限界が分かる古代劇場(プロヴァンス オランジュ)
プロヴァンスの古代都市の一つ、オランジュに出かけたのは2016年の9月のことです。プロヴァンスはお気に入りのエリアでこれまでに6,7回は訪れていると思います。オランジュにあるローマ時代の劇場は世界遺産に指定されています。旅の目的はこの劇場です。
パリからTGVでアヴィニオンまで行き、そこから乗り換えてオランジュに到着しました。
駅から宿までは荷物もあったのでタクシーを使いました。
目的であるローマ劇場です。私は歴史に興味があるのではなく、建物や構造物に対して関心があります。誰が作ったとか、政治的歴史的背景にはあまり興味がありません。とは言えども、一応ウイキペディアは見ておきました。
1世紀に作られたということですから1900年以上の時を重ねていることになります。こういったマイクもアンプもない時代のステージが私はとても好きなんです。
客席の大部分は復元ではなくコンクリートで新たに作られたものです。それでも大きさやステージまでの距離感は当時の状態を感じることができます。
収容人員は1万人程度とのことですから、現在のアリーナとそんなに変わらないわけです。これ以上大きいと音(声ですね)が聞こえなくなりますし、ビデオスクリーンも当然無いので見えなくなるからですね。つまり人間が生身でコミュニケーションできる物理的限界はこういうものなんだと思います。
それなりの音響設計がされていますので、ステージから客席に向かって声を出すとちゃんと客席の奥まで聞こえます。もちろん聴衆の歓声があれば聞こえないです。とうことは、当時は王などの為政者の声を黙って聞いていたに違いないわけです。また逆も真で、客席の声が壇上の王にもよく聞こえるのです。これは同じプロバンスのニームのやはり古代劇場で実際に体験したことがあるのでいつか別記事にします。
劇場のすぐ隣では、復元作業が進んでいないエリアがあります。劇場もおそらく相当長い時間こんな状態だったのでしょう。
オランジュの街は、プロヴァンスの他と比べるとあまり面白くはないです。結構都会になっていますし、アート感も少ないし、劇場以外には見るべきものはない感じです。食も全体的には今ひとつという印象でした。オランジュはピンポイントで劇場一本に絞っていいと思います。
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