国難のインテリジェンス

計画・分析が得意な人に憧れる。佐藤優さんは、私が憧れる人の一人だ。何冊か著書を拝読すると、頭のいい人がわざとイケナイコトを言っているかのように感じる表現があり、そこは少し苦手だが、、、

この本は、2023年4月に発行されている。佐藤さんが選んだ、14人の各分野の専門家との対話本だ。参考にすることも多いのではないかと思って読んでみた。結果として、とても読みやすく、他分野に渡る話で、面白かった。なかなか一般人が「こうしたらいい」という結論にはならないが、、、当たり前か。

1.新井紀子(国立情報学研究所教授)
『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』の著者。この人の本も面白くて何冊か読んでいる。今後は時代の変化に合わせて3回転職がするようになるとのこと。それには、時代の変化に合わせられるエネルギーや知力が必要になるだろうと思う。それも素養が無いとなかなか厳しいことに変わりはない。

2.藤井聡(京都大学大学院教授)
防災のための公共事業に関してのお話。「これはどうしても必要だ」とお金を注ぎ込むのは、日本のシステムとしては難しいのだろうな。

3.三浦展(カルチャースタディーズ研究所代表取締役)
日本の大きな問題点である、少子化にまつわる話。私たち就職氷河期世代は非正規雇用が多くそこが問題だと思うが、特にもうアラフィフくらいになると老後の保障をどうするという問題が大きく感じる。せめてパートナーを得て、心身健康に暮らせるようにできたらいいかなあ…

4.中谷巌(株式会社不識庵代表)
利益追求をするのは企業として仕方ないけれども、社会のことも考えた会社運営をしてほしい。コストを減らすために非正規を増やすとかやめてほしい。よろしくお願いします。

5.河合雅司(人口減少対策総合研究所理事長)
著作の『未来の年表』、興味ある。読んでないからわからないけど、学生たちが見たら将来の仕事を選ぶ助けにもなるんじゃないか。今まで通りの業界や経済のやり方ではもう日本は維持できないよ。

6.柳沢幸雄(開成中学校・高等学校校長)
開成は偏差値の高さで有名だからがり勉な学校かと思っていたけど、各種能力の高い人が自由に過ごせる場所らしい。この内容が本当ならば。多くの学校がこうなればいいと思うが。

7.岩村充(早稲田大学教授)
法人税 → 売上ー(原材料費+人件費)に課税
消費税(付加価値税) → 売上ー原材料費に課税
法人税を下げて消費税を上げるって、株主優遇労働者搾取の方策だったんだ。経済って大事なのに、どうしても興味が薄くて知識が入ってこないけど、やっぱり大事だ。

8.菊澤研宗(慶應義塾大学商学部教授)
『組織の不条理』著者。少ない情報で合理的であろうとしても、全体的には不合理である。ジョブ型ではなく、日本的企業組織の在り方をたぶん「遊びがある」ということなのだろうけど評価しているのが面白い。

9.君塚直隆(関東学院大学教授)
君主制について。今はもう、国民全体の理解が必要だよね。生まれた時から義務が生じたり、個人的なことが大ニュースになって叩かれたりするのは大変だと思うけれども。

10.八田進二(青山学院大学名誉教授)
第三者委員会の報告書の検証。確かに必要だよね。第三者委員会が立ったという時点で「もう大丈夫だろ」と思ってしまいがちなのは確かに。日本て、検証苦手だよね。

11.戸松義春(全日本仏教会理事長)
今は宗教法人も一部を除いて大変な時代。宗教的な収入だけでやっていける寺社はどの程度なのか。一方で、社会が個人主義で窮屈になって精神的に弱る人も多いから、果たせる役割は大きいと思う。

12.清水洋(早稲田大学商学学術院教授)
技術や人材の流動性が高いほうがイノベーションは起こりやすいが、到達点は低い。8.で取り上げられた2つの企業がまた出てきて、違う評価を受けているのが面白かった。視点の違いか。また、1.と同じ、家庭でのリスク分散が結論としてあったのも面白い。

13.國頭英夫(SATOMI臨床研究プロジェクト代表理事)
医学が進歩し、高齢化が進むほど、日本の医療費はかさむ。トリアージ賛成です。

14.五木寛之(作家)
この回は、ほとんど雑談で終わっているような気がする。


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