【Money Update】お金練習帳：キャッシュレスサービスのメリットは「現金不要」だけじゃない

ヤフーとソフトバンクがちょうど１年前の６月に立ち上げた合弁会社PayPay。

この会社が2018年11月に始めた「100億円あげちゃうキャンペーン」は、現金主義が根強い日本社会にとって強烈なインパクトでした。

これをきっかけにして、日本でも一気に「 QRコードでのスマホ決済」に対する意識が高まったような気がします。

この時期を境に「現金と比較してキャッシュレスがいかにメリットがあるか」といった声がよく聞かれるようになりました。

■キャッシュレス決済の最右翼「デビットカード」

「キャッシュレス」という言葉を耳にすると、スマホでQRコードを読み取って決済することがまず思い浮かびますが、もちろんキャッシュレス決済にはいろいろな方法があります。

使用額を後払いするクレジットカードに対して、使ったらすぐに銀行口座から引き落とされるデビットカードは、QR決済よりもずっと前から存在していて、メガバンクを含む各銀行は普及に力を入れていました。

この「即時銀行引き落とし」というポイントが、現金払いとよく似ているため、クレジットカードのように請求書を見て真っ青になることもなく、気軽に始めやすいのが最大のメリットではないでしょうか。

■お金とは「信用と情報を形にしたもの」

でもね、キャッシュレスのいいところって、そんなことだけじゃないんですよ。

僕は、今から５年以上以前から、「現金をなるべく使わない生活」を目指していろいろな試行錯誤を続けてきました。

最初は、「ミニマリスト」という生き方にあこがれて、自分の生活をなるべくシンプルにしたいという思いから始めたものでした。いえ、別に「こんまり流」にハマったわけではないんですが。

現金に触らないことの何がいいかというと「お金についていちいち悩まなくて済む」っていうのが一番大きいような気がします。

そもそも、みなさんは「お金って何？」って質問されたら何と答えますか？

貨幣や紙幣そのものに同等の価値がないことはだいたい想像できると思います。

1,000円札の紙自体にそれだけの価値はないし、実際のところ日本銀行は1,000円札の印刷にそれほどコストをかけてはいません。

お金は「信用と情報を形にしたもの」ですから、要するにただの数字なわけですよ。

そう考えると、キャッシュレス決済のいいところは「お金について必要以上に悩まず、冷静に処理できるようになる」ことではないでしょうか。

■キャッシュレスは「お金に対するネガティブな感情」を軽くしてくれる

日本人は昔から、人前でお金の話をするのはみっともないということで、なるべくお金について話題にすることを避けてきました。

しかし、これだけたくさんの日本人がいまだに自分の資産を「銀行預金」として保有しているのはとても不思議なことです。

これは、日本人が他のどの民族よりも「お金が好き」ということの証左ではないでしょうか。

つい最近も高須クリニックの高須院長が、自宅に保管してあった金地金を盗まれたとの報道が会ったばかりです。

彼のような資産家でも、自宅に「タンス預金」としてお金や宝石、貴金属を置いているわけです。

もっとも、自分の資産を国税庁に補足されたくないという思惑もあったのでしょうが、「本当は、お金が大好き」という日本人の潜在意識をよく表している事例であると思います。

お金に一種特別な感情を抱いてしまっているため、いつも身の回りにおいておきたいという意識が働くのでしょう。

■キャッシュレスは「お金に対するネガティブな感情」を軽くしてくれる

しかし、長年に渡って「完全キャッシュレス生活」への移行を目指してきた僕からしてみると、あまりお金に対して特別な感情を持つのは逆に良くないと思っています。

よく考えてみると、単に自分の必要な物品やサービスを手に入れるための「手段」に過ぎないお金にたいして必要以上の感情を持つことは、結局お金そのものに執着し、その使い方を誤ることに繋がるからです。

宝くじで高額当選した人の９割方が、破産や借金生活に追い込まれるという話は有名です。

お金の使い方に対してしっかりとした哲学を持っていないと、お金に振り回される人生になってしまいます。

その点、現金をなるべく使わずカードやスマホで買い物をすることは、そうした余分な執着心をなくすことにつながり、お金に対して冷静に対処することができるようになるのです。

★★★

私も以前は手持ちのお金の多寡で気分が大きく左右され、常に情緒が不安定でした。

しかし、デビットカードや交通系カードを駆使してなるべく現金に触れないようにすると、不思議と心の平安を取り戻すことができたのです。

キャッシュレス決済で私が得た最も大きな収穫、それは「精神の安定」であり、これからの先の見えない不安な時代を生き延びていくための力強い味方になってくれます。

そうした意味で、読者のみなさんもキャッシュレスに移行することで、「お金」からちょっと精神的距離を置いて、自分の心を見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。