インドのデザイナー向けメンタープラットフォーム『Command+J』
学生時代、日本発のデザイン会社でインターンをしていたことがあります。
約1年半の在籍期間で感じたのは、デザイナーたち(の一部)はビジネスの世界において、ある種のマイノリティ的感覚による共通見解があることでした。もっと言うと仲間意識。事業や経営の視点で見るとデザインは目的でなく手段なので、財務を握っているビジネスサイドからしたら「見た目がきれいになることって投資対効果いいの?」という視点で見られていた背景が仲間意識を生み出しているんだと思います。
つまり、暗黙で不毛な対立構造の中でのマイノリティ性が、ミッションやビジョンに共感しやすい絶妙なテーマなのかなと。
今回紹介する『Command+J』は、インドにおけるデザイナー同士を繋がってメンター関係を築く機会をつくれるプラットフォームです。
画像:Command+J
会社の中でメンターを見つけられないという悩みは日本であってもデザイナー以外の職種であっても起こり得ると思います。能力や経験が求めるものと符号していない、または人間性に惹かれないという理由もあると思います。
メンターがほしい、という悩みをインドという国でかつデザイナーという職種で区切ってマッチングさせようというのがこのサービスのポイントなのでしょう。
デザイナーという職種はとても広いですが、サイトによるとグラフィックデザイナーはもちろんUXデザインやプロダクトデザイン、ファッションデザインやモーションデザインなど、有形無形問わず多岐にわたるデザイナーを含めています。
なんとメンター・メンティーの関係を結ぶにあたり、費用は無料。どうやってマネタイズしているのかわかりませんが、まだまだ駆け出しのデザイナーからしたら大きなメリットです。
また、いいなと思った点は規約に差別やハラスメントに対する断固としての拒絶が明記されていたことです。具体的には、ジェンダーや人種、デザインの専門領域など個性を侵害するハランスメントは悪だし発見したら制裁を与えます、と言い切っています。このスタンスはもしかしたら、かつてカースト制度が存在していたインドだからこそ強調されるところなのかもとも感じました。
インドのデザイナー市場はまったくわかりませんが冒頭の文脈を引き継ぐと、おそらく”デザイナー”というくくり方は刺さるんじゃないかなという仮説を持っています。これがマーケターでもセールスでもなく、デザイナーであること、つまり声は大きくないけれど各々が強いアイデンティティを強く持っていることに意味があるのかなと考えています。
・・・デザイナーでもない僕が邪推をしすぎましたが抽象化すると「一定のマイノリティ性によって区切られた属性」は、コミュニティ設計におけるセグメンテーションの切り口になるなという気づきを今回のサービスから得ることができました。
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