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日曜劇場「アンチヒーロー」感想 HERO・タイトル・ゴレンジャー 

アンチヒーロー 感想(ネタバレあり)

面白かったです。
最終回、お見事でした。

1話から最終回まで、見事に張られた伏線と回収のシナリオ。
日曜劇場らしい、いい意味で過剰な演技。過剰な演出。
野村萬斎さん、あんなにも眉毛や口角が自由自在に上がったり、下がったりするなんて、もはや顔芸。
大げさなセリフ回しも最高でした。
さすがは歌舞伎役者ですね。

法廷ドラマと言えば、現在絶賛放映中のNHKの朝ドラ「虎に翼」、「アンチヒーロー」と同じ日曜劇場の「99.9%」などありますが、今から20年以上も前の2001年、フジテレビの月9で、視聴率30%超えのドラマがありました。
主演のキムタクはいつも茶色いダウンジャケットを着た、型破りな検事。
ドラマのタイトルは「HERO」。

あれから20年以上経った2024年。
「フジの月9」→「TBSの日9、日曜劇場」
「茶色いダウンジャケット」→「ダークなロングコート」
「HERO」→「アンチヒーロー」

まったく別物の法廷ドラマでありながら、意識している部分もあるのでしょうね。

2001年、キムタク演じる久利生検事は正義のヒーローでした。
2024年、長谷川博己さん演じる明墨弁護士は正義の検事(ヒーロー)と戦う、アンチヒーローとなります。

清廉潔白、完全無欠と思っていた正義のヒーローが、実は汚れていたり、歪んでいたり、間違っていたりすることもある。
それと戦う、アンチヒーロー。
よくぞ思いついた、深いタイトル。

伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」にも共通する、素晴らしいタイトルだと思います。

「正義の反対は、本当に悪なのだろうか」
正義と悪。
白と黒。
単純明快に分けられない部分が、このドラマの魅力であり、テーマなのでしょう。

だからこそ、主人公の名前は、明墨 正樹(あきずみ まさき)。

黒でも、白でもなく、明るい墨。
グレー、灰色をつけたくなるところで、明墨って、絶妙ですね。
本当にいい人なのか、本当は悪い人なのか、ドラマを見ながら何度も思いましたが、最終回が終わった今でも、そこは分からなくて、でも分からないのが正解でもいいのかな、と思います。
「本当はいい人」とか、「本当は悪い人」とか、そうきれいに分けられるものではないから。

「戦隊モノ」のように、仲間たちに色の名前がついているのもよかったです。
元祖「ゴレンジャー」だったら、アカレンジャー、アオレンジャー、ミドレンジャー、キレンジャー、モモレンジャーの単純5色だったけど、「アンチヒーロー」は、明墨とか、紫ノ宮とか、色がちょっと複雑で深いですね。

■赤峰 柊斗(あかみね しゅうと):北村匠海
まっすぐな情熱、エネルギーの赤ですね。
長谷川さんに引っ張られて、演技が地味にエスカレートしていくのがよかったです。

■紫ノ宮 飛鳥(しのみや あすか):堀田真由
平安貴族のような、落ち着きと高貴な強さって感じですね。

■白木 凛(しらき りん):大島優子
なんてきれいな名前。最終回前に裏切ったときには驚きましたが、白だし、凛だし、きっと大丈夫、戻ってきてと思いました。

■青山 憲治(あおやま けんじ):林 泰文
いつも落ち着いてますね。

■桃瀬 礼子(ももせ れいこ):吹石一恵
モモレンジャー。ヒロインや。

■緑川 歩佳(みどりかわ あゆか):木村佳乃
緑だからもしかして仲間なのかも、とも思いましたが、最後の最後まで、明かさなかったのがお見事でした。
伊達原の罪が暴かれる裁判の場面でも、ずっとすっとぼけて何も知らずに驚いている演技に、私も最後までだまされました。

■緋山 啓太(ひやま けいた):岩田剛典
緋色は、鈍い赤なので血の色ですね。
でも仲間だから、色がついたのですね。

真犯人がまったくでてこなかったのは、おそらくその必要がなかったからとは思います。
急に真犯人がでてきたらご都合主義になりそうだし。

続編があるのかは分かりませんが、これはこれで完結でよいと思います。
シナリオ、演技、演出、どれもとても魅力的なドラマでした。

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