「いいからやれ!」 ランニングマン1 はじめの一歩
ランニングマン1
はじめの一歩
走るのなんて大嫌いだった。
幼稚園から高校を卒業するまで、運動会はずっと行きたくなかったし、走る競技はビリじゃなかったとしても、後ろかろ数えた方が確実に早かった。
全員が出なくては行けないリレーはなんとか抜かれないように、転ばないようにとドキマギしていたし、体育のはじめや部活の最後にグラウンドを二周したりするのも、後ろのほうからぜいぜいとなんとかついていくのがやっとだった。
マラソン大会なんて、地獄の苦しみだった。
どうして二月の一番寒い時期にわざわざマラソン大会なんてするのか。
なんとか風邪をひいて休めないものか、とにかく逃げ出すことを考えていた。
そんなオレがまさか自分から走り出すなんて、人生分からないものだ。
きっかけは、30代後半に千葉県浦安市に引っ越して、マラソン大会にエントリーしたことだ。
ふと目にした市の広報誌に、マラソン大会参加者募集中の記事があり、そこに3kmの部というのがあった。フルマラソンやハーフマラソンや10kmマラソンだったら間違いなく申し込まなかったけれど、3kmというのがツボだった。
3kmだったら走れんじゃね?
いや走れる。
ってか走れ。
ディズニーランドの周囲を一周するコースも魅力的で、ペースを気にせずゆっくり走ってみたら気持ちよさそうだ。
それがはじめの一歩だった。
たった3kmでも、完走したらものすごい達成感があった。
たった20分が、こんなにも清々しい。
タイムなんて気にしない。
抜かされたって気にもならない。
運動嫌いの自分はこういう達成感とは無縁だったから、2月の冬の青空が、こんなにも気持ちがいいなんてはじめて知った。
次は10kmにでてみたい。
その次はハーフに挑戦しよう。
そしていつかはフルマラソン、42.195kmを走ってみたい。
それから十年経ち、フルマラソンも三回走った。自己ベストは4時間31分。でもフルはあまりにもきついから、ハーフの大会に年に一回か二回出れればいいかな、というのが今のペース。
おかげで10年間、体形はほぼ維持できている。
毎週末に5km程度走るのが理想だが、筋トレと同じで一度やめるとすっかり走らなくなってしまう。
特にマラソン大会にエントリーしていない時期は、すっかりさぼり癖がついてしまう。
今も、そう。
大会にエントリーするのがもっとも効果的だと思い、この文章を書きながら「そういえばそろそろ浦安マラソンのエントリーはじまるかな」と思い検索してみたら、今日からエントリー開始だった。
いい季節になった。
暑くもなく、寒くもない。
最初の一歩となった大会。
エントリーするのは夜でもいいから、
いいからやれ!
いいから、走れ!
今日は秋晴れだ。
ほんの少しでも笑顔になっていただけたら幸いです。