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TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS 採択企業インタビュー「Space Aviation株式会社」

ふだんは絶景遊覧飛行、有事は災害救助に。
ヘリコプターを観光×防災で活用


Space  Aviation株式会社 
代表取締役 保田晃宏さん

「誰もが自由に空を利用できる社会へ」をミッションに掲げ、ヘリコプターによる遊覧飛行や操縦士訓練・教育事業などを手がけるSpace Aviation。2024年1月に発生した能登半島地震ではヘリ4機を派遣して物資輸送に尽力するなど、「平時は観光、有事は防災」というヘリコプターの活用方法が改めて注目されています。代表取締役の保田さんに、離島でのヘリ活用について伺いました。(インタビュー:株式会社TIAM/伊藤奨)


――まずは、TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPSに応募された理由をお聞かせください。

保田:弊社のコンセプトに「観光と防災を組み合わせた、新しい防災モデルをつくる」というものがあります。国や自治体が予算を確保する従来の防災システムと違い、我々民間として「平時には観光用に利用しながら、有事の際には防災活動にあたる」というシステムをめざしています。

ヘリコプターは1つの機体でいろいろなミッションができるので、遊覧飛行といった観光客向けのサービスだけでなく、住民の困りごとに活用できるという利点もあります。特に離島は海の状態で船が欠航することもありますので、ヘリを使ってバックアップするといった地域貢献ができればと考えています。

もともと東京から近い伊豆諸島に進出していきたいという構想は以前からありました。ヘリコプターを使って観光・防災の両面で貢献したいという気持ちがありますが、いきなり防災といっても話を進めるのは簡単ではありません。そこで、まずは観光振興からということで「東京から一番近いリゾート」というコンセプトでツアーを始められないかと考えていたんです。

そんななか、たまたまTOKYO ISLANDHOODの情報を聞く機会がありまして、まさにやりたかったことだったのでチャレンジしてみようということで応募しました。


――実際に10月に島に入ってみた手応えはいかがでしたでしょうか?

保田:採択企業全社による最初の現地見学は参加できなかったのですが、別日に伊豆大島へ入ってテストフライトを行いました。東京からヘリコプターで大島まで飛び、4名ほど社員やビジネスパートナーをヘリに乗せて、新島までフライトして新島空港に着陸することができました。また大島空港では格納庫を見学させていただきましたし、観光協会へご挨拶にうかがったり、地元の方々と交流したりする機会もありました。

新島では無料の温泉に入ったんですが、設備も立派だし景色も最高でしたね。大島からフライトしていると、新島周辺から急に雰囲気が変わってリゾート感が出るので、すごくよかったです。何か新しいものを作らなくても、このまま1本ツアーができるなという十分な手応えを感じました。

テストフライトでの新島上空からの絶景

大島に関してはフライト自体もすばらしい景色なのですが、航路の活用もおもしろいのではないかと思いまして、大型クルーザーを所有されている会社様にも大島の魅力をお伝えし、大島の波浮港へ入るというトライアルも行って頂いたんです。空と海のアクセスをつないで、波浮港を中心に何かできるのではないかと構想しているところです。


――独自にいろいろなトライをしていらっしゃるんですね。TOKYO ISLANDHOODでは事業化にあたりさまざまな支援を行っていますが、そのなかでどういった支援が役立ちましたか?

保田:やはり、とっかかりのところで地元の方々とつながることができたのが大きいですね。いきなり自社だけで「こんにちは」と島に行っても、物事はなかなか動かなかったと思います。東京都の支援で、最初の接点ができたのは非常にありがたかったです。


――採択された他社とのつながりはいかがでしたでしょうか?

保田:Sanuさんとは宿泊と移動とでコラボレーションできる可能性があるのではというお話をしました。アイランデクスさんとはたまたま岡山のカンファレンスでお会いして、今後建築等を手がける可能性もあるので、その際に関わることになるかもというお話をしました。どの会社さんも私たちにとっては頼りがいのある存在。コラボする余地は結構あるなと思っています。

例えば東京都の遊休地があって、みんなでアイデアを出しあってそこで何かを生み出そう!といった共同プロジェクトを東京都に提案できたらいいなとも思います。スタートアップ同士のつながりが深まって、面白いことができそうです。


――みんなで一つの企画をするというのはいいですね。Space Aviationさんはすでにテストフライトを実施して具体的なコースも検討されていますが、今後の島での事業展望について改めてお聞かせください。

保田:既存のアセットを組み合わせた旅行パッケージを作るところまでの展望は見えたので、まずはモデルツアーとして発表したいと思っています。いずれは1、2年先を見据えて、船とヘリのコラボをはじめ、さまざまな事業者さんが集まって何ができたらいいですね。東京から一番近い大島を起点に、他の離島へのアイランドホッピング企画などができたら面白いと思っています。

――能登半島地震で物資を運んでおられるSpace Aviationさんですので、島にとって「防災にも使えるんだ」ということがわかる事例があるのは大きなことです。大島では自然ガイドもたくさん活動していますので、そういう人が乗ってみるのもよさそうですね。ぜひフライトの実現を期待しています。本日はありがとうございました。


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