見出し画像

成果発信イベント「TOKYO ISLANDHOOD DAY」開催レポート(前編)

「TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS」の成果発信イベント「TOKYO ISLANDHOOD DAY」が伊豆大島のコワーキングスペース「Izu-Oshima Co-Working Lab WELAGO」にて開催され、Zoom・Youtubeによるライブ配信が行われました。

2023年10月のはじめ、採択事業者の皆さんが現地見学のため初めて島に入ってから早くも約半年が過ぎました。振り返ってみると、この期間に採択事業者の皆さんは度々島に入ってはヒアリングを重ねることで現地の方々との関係性を深めながら、持続的に島と関われる取り組みを探ってきました。また、関わるメンバー同士で進捗を共有したり、意見交換を重ねながら、より意義ある事業として地域や社会に受け入れられるために、事業のブラッシュアップや検討を進め、それぞれの島が持つ特性や事情に対して各事業が持つ強みや関わりしろをマッチさせるべく、チューニングを重ねてきました。

まさに「ISLANDHOOD」という言葉が持つ意味を、関わる人たちそれぞれが感じ取りながら、よき仲間・チームとして志を持ってみんなで取り組んできた事業だったのだと思います。これはきっかけであり、ここからはじまるのだと、そう思えた成果発信イベントでした。

成果発信イベント当日は採択事業者であるスタートアップ6事業者の皆さんはもちろん、大島町をはじめとした町の関係各所の皆さま、そして、当事業に関わりのある各島の関係者や島に関わりのある方々にお集まりいただきました。これまでの事業の成果について報告するとともに、「島とつながる」「島の未来」「島と生きる」といった様々なテーマを通じてそれぞれの立場からトークを繰り広げながら、島しょ地域におけるビジネス交流をより活性化させるべく、活発な対話の場が繰り広げられました。

実際のイベントの様子はYoutubeよりアーカイブ配信映像がご覧頂けます。前・後編の2回に渡ってお送りする本レポートではそれぞれのセッションを通じて気づいたこと、感じたことなどをWEBメディア「東京都離島区」編集部の千葉がお届けします。


セッションテーマ「島とつながる」
ー それは想いに寄り添うコミュニケーションからはじまる

最初のセッション「島とつながる」では、成果発表者として株式会社Sanu事業開発本部開発推進部長の吉澤吟平さん、Space Aviation株式会社代表取締役の保田晃宏さん、ゲストスピーカーとして株式会社こうづしま観光公社代表取締役 観光協会理事長の稲葉豊美さん、株式会社oldie-village代表取締役 古村英次郎さん、そして、モデレーターとしてTOKYO ISLANDHOOD事務局の柳川雄飛さんの5名で進行しました。

成果発表者のお二人からは、当事業を通じて島に入ることで現地の方々とのスムーズなコミュニケーションに繋げることができたこと、現地のリアルな声を聞くことで、島の事情をしっかり踏まえて島の方と寄り添いながら進めていくことの大切さ、同意ではなく合意のもとでお互い同じ方向に向かって進めていける関係性を構築することの大切さについてお話されました。

続いて、ゲストスピーカーである稲葉さんや吉村さんのお話からは、過去より受け継がれてきた文化や風習を次の世代に繋げていくことや長期的な目線でじっくり取り組むことの大切さとともに、今ある環境を崩すことなく本質を見失わずに未来へつないでいく仕組みや体制を整えていくことが大切だとお話をされていました。

過去より積み上げられてきた自然や文化風習は失ったら二度と戻らない。貴重な島の宝を次の世代につなげていくこと、大切に守っていくこと、そして無理なく活用していくこと。何より個人的視点だけでなく広い視野や視座をもって取り組んでいくことの大切さを教えてくれました。


セッションテーマ「島の未来」
ー 視点を変えたり大胆に取り組むことで見えてくる地平

続いてのセッション「島の未来」では、成果発表者としてエアロセンス株式会社 取締役 嶋田悟さん、FLOATBASE株式会社 代表取締役 井川太介さんのお二人、ゲストスピーカーとして新島村商工会 経営指導員の下井勝博さん、合同会社とびしま 業務執行社員の松本友哉さん、モデレーターとしてTOKYO ISLANDHOOD事業総合アドバイザー・Zebras and Companyの田中苑子さんの5名で進行しました。

採択事業者のお二人からは、新しい取り組みを実現させるためには様々な規制や利害関係を乗り越え多くの方の合意を得る必要があり、それには多くの時間や労力そして決して諦めない強い決心や情熱が必要であるとお話しがありました。少し視点を変えることで活かせる方向性や関われるポイントが見えてくること、最初は険しく見えていた道のりも、少し方向を変えることで現実的に取り組める状況に変えていくことができる、と島に入ることで変化した姿勢とともに、新たな気持ちで島と関わっていく意気込みが伺えました。

そして、下井さん、松本さんのお話からは、新しいことを行う際はあえて全員の合意形成を図ろうとはせずに意志ある人たちでまずはやってみることで、その価値や可能性を実感してもらうこともときには必要なのではないかとお話しされていました。

お二人とも他の人がやっていることはやりたくないと意気投合されていて、未来の可能性を広げるような新たな試みは当事者が覚悟や責任とともにスピード感をもって大胆に取り組む姿勢も場合によっては必要だと力強く発言されていました。

社会的な課題と向き合いイノベーションを起こすスタートアップの皆さんと、島に暮らしながら多様なご活躍をされているゲストスピーカーの皆さんとのトークセッションは多くの気づきや学びに満ちていて、高い創造性が感じられました。ここから何かが生まれそうな機運に満ちた豊かな場へと変容していく様子が印象的でした。

というわけで、今回は前編として、「島とつながる」「島の未来」の2つのセッションの様子をお届けしました。次回は後編として「島と生きる」そして、クロージングセッション
「島とはじめる」の様子をお届けしたいと思います。

執筆・編集:千葉 努(ちば つとむ)
株式会社TIAM 代表取締役最高技術責任者/トウオンデザイン 2010年に伊豆大島に移住。島を拠点にデザインオフィス「トウオンデザイン」を営み、コミュニティや場づくりをテーマにした多種多様なイベント企画やメディアづくりを行う。南北1,000kmに及ぶ東京諸島の豊かさを未来へとつないでいく株式会社TIAMを21年に設立。11の島々の魅力を伝えるメディア「東京都離島区」や、新しいワークスタイルの創出を目指す「多働海域コミュニティWELAGO」のデザインディレクション・プロジェクトマネジメントを行う。その他、一般社団法人大島観光協会 専務理事など。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?