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仁王立ちの女

渋谷を車に乗って仕事で走っていると信号がある交差点で険しく、正面を鋭い眼光で睨みつけている女性がいた。

全身から怒りをあらわにし、歩道から道路に乗り出し、車が来ようが関係なく、腕を組み、仁王像の如く睨みつけて立っていた。ただ事じゃない。

渋谷は面白い街です。いろんな人がいる。異世界のようだ。

面白いなぁと思いながら通り過ぎ、一つ仕事を終え、車に戻ると目の前に彼女が立っていた。初めに見たところから少し歩いたところで歩道から道路を横断し、スタスタとビルの合間を抜けて消えていった。

車が走っていようがお構いなく、まるで車など走っていないかのように。悠々と怒りを全身から振りまきながら歩いて行った。後ろ姿からもあんなに怒りを発せる人間がいるのかと驚いた。

面白い人だ。心底邪魔だがついつい見惚れてしまう。また出会ってみたいなぁと思いながら今日もハンドルを握って渋谷を走り抜ける。

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