塀
その人は、突然私の目の前に現れたんです。
「塀を作れば良いんだよ」
「塀?」
その男の人は、崩れてしまった私のお城の周りに砂で塀を作り始めました。
「ほら、こうして塀を作れば、直接お城に波が当たらないから、お城を守ることができる」
そう言って、にっこりと笑います。
「僕が塀になる。そして君を守る」
ああ、なんでそんな歯が浮くようなセリフを平気で言えるのか。
そしてまた、なんでそんなセリフが不自然ではなくて自然に言えるのか。
だけど、砂の塀は崩れてしまいます。
波が押し寄せて、崩れてしまいます。
ああ、私を守れる人なんていない。
私を守れる人なんていないんです
つづく。
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