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よみがえる小学校
取り壊された、という話を母から聞いた。
実家に帰省したついでに、私はその廃校となった小学校を訪ねることにした。すると、意外なことがふたつあった。ひとつは小学校がまだそのままだったこと。もうひとつは、かつてのクラスメイトが集まっていたことだ。私はみんなの元に駆け寄った。
「おーい、どうしたんだよ」
「あ、リュージ。いまからサッカーするけど、おまえもやるだろ?」
「え……ああ、もちろん!」
私は友人たちと夢中にボールを蹴りあった。私はゴールを二度も決めた。
「すげえなリュージ。こんなに強かったっけ」
「ちくしょー負けた」
「いちばん最後にさわったやつがボールの片付けな!」
友人たちは校舎に向かった。
そこでようやく、みんなの姿が当時のままであることに気がついた。
私はボールを抱え立っていた。このまま、みんなと子どもでいるほうがいいかもしれない……。
間を取って、駄菓子屋で「ヤッター!めん」を買った。それで十分だった。
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