支持者と政党の「危機管理能力」について―民主主義のためのデザイン言論 番外編―
石垣のりこのツイート炎上について、皆さんに考えてほしいこと
安倍首相が突如として退陣表明を行った8月28日。その夜、立憲民主党の石垣のりこ(以下敬称略)の下記ツイートが文字通り「大炎上」しました。
特に批判されたのは、「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」というフレーズです。このツイートには、翌29日時点で、43000近いコメント付きリツイート、3万以上のリプライが来ています。
私としては、特にこのツイートに対して、何かしらの個人的意見を表明する必要はないかなと考えています。この短い記事で皆さんに考えて欲しいのは、支持者として、あるいは政党関係者として、このような炎上をどうすれば避けられたのかという問題です。
このツイート炎上によって、石垣本人および立憲民主党の名声は、大いに傷つきました。その事実は、擁護側も批判側も、あるいは与党支持者も野党支持者も、みな同意できるものと思います。
特に―後に石垣が後に引用するように―立憲民主党は「身体的特性や疾病で、本人の就労意思が阻害されない、強くたおやかな社会」「全ての差別を克服する社会」を党是としているわけです。彼女が、その党是に反すると思われかねない公的発言をした、これが党にとってどれほど印象ダウンだったのか、が問題です。
その意味において、このツイートそのものが、議員本人と立憲民主党にとって、「危機」であることは確実です。
ですので、「どうしたらこのツイート炎上を防げたのか」という問いこそ、まさに「危機管理能力」の問題として、私たち野党支持者が考えないといけない問題だと思います。
一ヶ月以上前、すでに炎上の芽はあった
実は、私は石垣が炎上したと聞いたとき、さほど驚きませんでした。最近、彼女のツイートに危険な兆候を感じていたからです。
具体的に、これはマズいんじゃないかと思うキッカケになったツイートが、7月9日のこちらのツイートです。
このツイートについて、大部分の立憲民主党支持者は、肯定的な反応を返しました。ですが、私は次のように私はツイートしています。
上の石垣のツイートは、たしかに即座に炎上する類いのものではないでしょう。ですが、やはり危うさがある。それを簡単に説明します。
①「いかがわしい人」という言葉は、事実や行動に対する批判ではなく、特定の個人に対する主観的な印象です。しかも、石垣は国会議員であり、相手は学者であれ他党支持者であれ一有権者の可能性が高いです。有権者の人格に対するレッテル貼りは公人として慎むべきものです。
②「この人はいかがわしい」と思うに至った理由を、石垣は説得的に説明せいていません。その意味で、このツイートの論理は雑すぎます。
③有権者に対する雑な印象を、クローズドな場で開陳するならまだ問題はないかもしれません。ですが、これをTwitterという、誰でも見れる場で書いてしまっている。このツイートには、自分が有権者に見られているという意識が欠如しています。
一ヶ月半前に、有権者に見られているという意識もなく、雑な論理展開でレッテルを貼っていた。この振る舞いから、すでに将来の炎上は十分に予見できたのです。
有権者にとっての危機管理とは
私がこのように予見したのは、石垣のりこという政治家を貶めたいからではありません。むしろ逆です。むしろ、今回の炎上騒動は、私たちの振るまい次第で、十分に避けられたということが言いたいのです。
一般論ですが、野党に限らず政党や政治家の支持者は、自分の支持する政党や政治家の悪しき振る舞いには目を瞑り、批判者に対して反撃し、そうすることで逆に有望な政治家をスポイルしてしまっているように私には見えるのです。
危機管理の基本は、破局の前兆をいち早く見いだし、それに対して改善点を見いだし、将来的なリスクの芽を摘むことです。
本当に彼女を見込みある政治家だと信じ、応援しようとする支持者なら、このような危ういツイートを見つけたら、彼女に諫言する方が良かったのではないでしょうか。炎上は最終的には当人の責任とはいえ、もし諫言が聞き入れられていたとすれば、このようなくだらない炎上で、彼女の名声とキャリアに傷をつけることもなかったのではないでしょうか。
やはり私たち有権者も、誰か政治家や政党をを崇拝する一ファンという態度から、政治家や政党に諫言し育てていく主体的な有権者へと成長していく必要があるのだと思うのです。
政党にとっての危機管理とは
同じことは、政党にも言えます。
政党がすべての議員のSNS上の発言を統制すべきだとは、私は考えていません。むしろ政策に関する統制は、慎むべきだと思います。
しかしやはり、有権者に対して、公僕としてどのような態度をとるべきなのか、どのような発言は信用を失うことになるのか、そこは細かくチェックしフィードバックすべきではないでしょうか。
立憲民主党は、有権者を意識しない投稿や、有権者に対して失礼な投稿をこれまでずっと放置してきたのです。これではいつか炎上するのは当然です。ずっと放置して、いざ炎上したら慌てて火消しを行う、これが公党の危機管理として適切な方法論だったか否か、きちんと見直して欲しいと思います。
そして、どのような仕組みを政党の中に実装すれば、今後の議員による炎上を防ぎ、有権者に対する信用を積み重ねていけるのか、突き詰めて練り上げていって欲しいと思います。
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