致死率11.6%、アビガン薬害疑惑。その責任を負うのは誰か
投与後の死亡者223名、致死率11.6%
日本発の画期的な新型コロナ治療薬として絶大な期待を集めていたアビガン(ファビピラビル)ですが、7月10日、藤田医科大学から臨床研究の結果が発表されました。
結果は、残念ながら統計的に明確な有効性は確認出来なかったとのことです。
ほぼ同時期に、東大病院から、アビガンとフサンの併用療法11例中、10例で症状が軽快したという発表もありました。
ともあれ、アビガンに有効性があるのかないのか以前の問題があります。7月2日に薬害オンブズパーソン会議は、当の藤田医科大学の観察研究に基づいて、アビガンが有害である可能性を指摘しているのです。(藤田医科大学アビガン「観察研究」中間報告における死亡者を踏まえた意見書 (新型コロナウイルス感染症に関して。
同報告書によると、患者1918名のうち233名が死亡、致死率は11.6%に達しています。これは、厚労省公表の致死率1.6%や、中国CDCが公表している2.3%と比較しても、明らかに高い数字です。
さらには、酸素投与を必要としていなかった軽症患者830名のうち、死亡者数は42名を数えており、致死率は5.1%に達しています。このデータでは、入院後一ヶ月後までの増悪転院35名が、結果的に死亡に至ったのか否かは不明のため、この致死率は少なく見積もった数字です。
また、年代別に見ても、厚労省や中国CDCの統計と比べ、明らかに高い致死率が確認できます。
致死率は、60代で10.7%、70代で19.8%、80代以上では36.5%という恐ろしい数字が記されています。もう一つ注目すべきことに、他統計ではほぼ死亡例がない20代・40代・50代でも、2%前後の致死率が記録されています。
アビガン、その戦慄すべき副作用
そもそもアビガンの2014年の新型インフルエンザ感染症に対する承認そのものは、異例づくしのものでした(日経メディカル 新機序の抗インフルエンザ薬が承認を取得)
・「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る」場合限定で投与が許可されること。
・承認条件として薬物動態試験の実施などが求められており、その解析結果が公開されて必要な措置が講じられるまでは厚生労働大臣の要請がない限りは、製造できないこと。
・発売後も、国が使用の必要があると判断した場合のみ患者への投与が検討される薬剤であるとされ、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう、厳格な流通管理を行うこと。
このように見ると、あたかも厚生労働省は、本来ならば到底認可できない薬を承認せざるを得なかったため、できる限り実際の患者には投与しないように調整していたかのようです。なぜ厚労省がこのような薬を承認し、200万人分も備蓄するに至ったのかは、明らかになっていません。しかし、なぜここまで厳格な管理を求めていたかは見当がつきます。それはアビガンの副作用が懸念されていたからに他なりません。
副作用については、動物実験で、臨床曝露量以下の投与で催奇形性が確認されたということは、よく知られています。しかし、アビガンの副作用は、それにとどまるものではなさそうです。以下、今年5月1日に発表されている薬害オンブズパーソン会議の「アビガンに関する意見書」から引用します。
アビガン薬害の可能性
「アビガンはすでに承認された薬だから、人間に対しては安全だ」という人もいます。しかし、アビガンは現実にはほとんど流通しなかった薬なのです。だから、現実の臨床で安全性を確認された薬だとは到底言えません。
つまり、アビガンが実戦に投入されたのは、今回の新型コロナ感染症に対する臨床研究が事実上初めてと言って良い状況なのです。
厚生労働省によれば、7月10日時点の新型コロナ感染症による累計死亡者は981人です。そのうち少なくとも223人、20%を優に超える方がアビガンを投与された上で亡くなられた。
もちろん、そのうちの一定数は、おそらく投与されなくても亡くなった方でしょう。しかし、やはり致死率の高さをあわせて考えると、223人のうち相当の割合の方が、アビガン薬害の被害者であるという可能性は否定できません。
芸能人・著名人が亡くなったのは何故か
このように指摘すると、複数の芸能人がアビガン投与によって回復したではないかと指摘されます。
もちろん、人や症状によっって効果を可能性を否定するものではありません。しかし、どんな治療薬も、メリットとデメリットをあわせて総合的に判断されるべきものです。
これまでは、そのメリットばかりが、芸能人など当事者から報告されてきました。しかし、それが「生存者バイアス」だったらどうでしょうか。
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