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#6 結婚式の夢をあきらめないで

コロナでさまざまなイベントがキャンセルや中止になっています。人生の節目である「結婚式」も、中止や延期の判断が難しいようです。今回の雑談の相手は、福井でフリーランスのウェディングプランナーとして活躍しているa.n.d Weddingの大嶋歩さん。以前、取材させていただいたご縁で、親しくさせてもらっています。ウェディング業界の今はどうなっているのでしょうか。

雑談日 2020.4.17


―ウェディング業界にもコロナの影響が出ているようですけど、ぶっちゃけ今どんな感じですか?

3月中は、福井でも受付で消毒液を設置するなど対策しながら、なんとか結婚式ができたんですよ。でも4月以降はほとんどが延期かキャンセルですね。

―延期といってもどれくらい先に振り替えたらいいか難しいですよね。

そうなんですよ。福井はもともと春よりも秋に結婚式を挙げる方が多いんですけど、今はその前後に振り替える方が多いですね。とはいえ、「今年いっぱいは不安」って言う方がほとんどです。福井は良心的な対応をしてるところが多いけど、再延期となると、一旦キャンセルするか料金を取られるところも出てくるかもしれないですね。

―同業者の人たちとは、何か対策を考えたりしてます?

今結婚式を控えている人たちに向けて、お家でできる結婚式準備や花嫁修行のようなコンテンツを動画配信しようかなと考えているんですけど、それ以上に、まずは新郎新婦を応援することが大事だねって話しています。「結婚式への夢をあきらめないで」って。

―応援?

そう。今、新郎新婦の悩み事といえば、「この日に挙式できるのか不安」っていう話ばかりなんですが、そればかりはどうなるか誰にもわからないじゃないですか。コロナが落ち着いてもゼロにはならないと思うので、自分の結婚式で感染が広まる可能性がないなんて絶対に言えないし。

―たしかに。そんなリスクを犯してまで結婚式を挙げる意味があるのかって考えてしまうかもしれない。

もう写真の前撮りでいいんじゃないって思う人も出てくると思います。新婦の場合だと、延期している間にもしかして妊娠する可能性もあるし、例えば、コロナで仕事を失ったという参列者も出てくるかもしれない。そんな時に果たしてご祝儀を用意して着飾って参列できるのか……。

―あぁ、そういうことも起きてしまうのか……。コロナもこの先わからないけど、自分たちもどうなるかわからないですもんね。

コロナのせいで、当初思い描いていた結婚式と同じ内容にはできないかもしれない。でもそれを理由に、もう結婚式そのものをやめちゃおうっていう流れになることが悲しくて。

―一方で「オンライン挙式」のような新しいかたちの結婚式も出てきてますよね。新しいことに挑戦しやすいのはフリーランスプランナーの強みでもあるような気がするけど……。

そうですね。会場を持っているところに比べると、フリーランスは動きやすいのが強みなので、今後結婚式のあり方がかわってくると、もしかして出番があるかもと思っています。

―「stayhome婚」のような結婚式も出てくるかも。

それ、すごくいいネーミング(笑)。2人で結婚する意味をちゃんと確かめ合う、セレモニー的な要素を盛り込むと、新しい結婚式のかたちはどんどんつくれると思います。それこそ、家で2人だけの結婚式とか、家族で食事をするとか、お互いに手紙を読み合うだけでも、もしかして立派なセレモニーになるのかも。

―セレモニー的な要素ってやっぱり大事ですか?

今、日本でも離婚率は高くはなってるんですけど、離婚するカップルのうち、結婚式を挙げなかった方が8割にのぼるという統計があって。

―えー、それはすごい!

離婚がダメというつもりはまったくないんですけど、結婚式を挙げた方が責任を感じるというか、離婚を躊躇するのは間違いないと思うんです。そしてその結婚式の動機づけになるプロポーズがあることで、「いつ結婚する?」と具体的な話が進んでいく。今って、お互いにちゃんと気持ちを確認し合う行為がないまま、流れるように結婚しているカップルも増えているなぁと感じてます。

―それってつきあう時からありそう。つきあってるかもしれないけど、ちゃんと告白されてないから、つきあってないかもしれないみたいな……。

今の若い子って傷つきたくないからね(笑)。ちゃんと「結婚してください」って言われないまま結婚するカップルも多いんです。お互いに探り探り進んでいるうちに子どもができたから結婚するみたいな。「結婚したいね」「そうだね」って二人で確かめ合うとか、「私たち結婚します」って周りに宣言して「頑張ってね」と祝福されるみたいなのって減ってるんですよね。


―まぁ照れくさいっちゃ照れくさいけど、そういうの大事なのはすごくわかるなぁ。

別に大袈裟な方法でなくても、2人の気持ちを確認し合えるなら、どんな方法だっていいと思うんです。もしかすると、「オンライン結婚式」や「お家で結婚式」みたいな形が浸透すると、私たちプランナーの入る余地はなくなるのかもしれない。
でも、私はまったくマイナスには捉えていなくて、それよりも、日本人の文化でも大事な結婚式が軽視されていくことの方が危機感を感じてます。

時代が変わってもどんなかたちであれ、結婚式の良さは残していきたい。だからこそ、まずは今、結婚式を控える新郎新婦を応援したいなと思っています。

(雑談終わり)

結婚式はただでさえ準備が大変なのに、いつおさまるかもわからないコロナのせいで、心が折れてしまいそう……。不安を抱えながら毎日を過ごす新郎新婦の気持ちが、大嶋さんの話からも伝わってきました。お悩み相談や役に立つ知識も大切だけど、まずは「大丈夫だよ!」と元気づける。応援っていろんな方法があるけど、やっぱり心に寄り添うことが一番大切な気がしています。新郎新婦だけでなく、今コロナで不安になっているどんな人にも当てはまるのかもしれないなぁと感じた雑談でした。


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