効果測定

目的よって何を測るかは違ってくるが、容易に定量的な測定が可能なものを挙げてみる。①株価、②出来高、③売買代金、④株主数、⑤アクセス数(PV/セッション/ユーザー/いいね/フォロー)、⑥問い合わせ数、⑦取材件数、⑧アナリストレポート数、⑨メディア掲載数、⑩説明会への出席者数、⑪アンケート、⑫表彰・ランキング・・・これらはIR活動のパフォーマンスとしてトラックしている会社も多いと思う。

Yahoo!ファイナンスの掲示板への投稿数をカウントしていたことがある。経済学者のケインズは株式投資を美人投票になぞらえた。投稿は玉石混交だが、人気・話題性・プレゼンスのバロメーターとして当たらずとも遠からずで悪くなかった。適正株価の形成という面で、日々の出来高や売買代金に加えてTick(約定回数)を見ていたこともある。中小型株の場合、まずはそれなりの流動性を確保しないとはじまらない。未来のいつか、株式市場から資金調達するときに備えて、常に適正株価の醸成に努めておくことが重要と、教科書的なコンセプトがしっくりきたりする。富国生命の米山社長は、日銀の異次元緩和のせいで「市場による大切な価格発見機能が失われてしまった」と嘆いていた(日経記事)。これに通じるものがある。

「IRは株主や投資家との信頼関係の構築が目的」「短期的に結果を望むようなことは慎むべき」といった特質は確かにあるだろう。公開会社は社会的存在として対話を求められる。対話姿勢に価値がある。ジョブ型雇用になり成果で評価される(これもデータドリブン?)となると効果測定の流用は増すに違いない。ある医師は「自分の存在価値など答えのないものに興味を持ってしまうのは要注意」と発信している。効果測定は、短期的な成果に使えなくはないが、活動量や長尺での変化を知るための観測データくらいの運用が適度と思われる。

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