パッシブ運用

・・・前投稿の続き。
2020年9月28日の日経新聞のコラム記事「バリュー投資は生きている」にあったようにパッシブ運用が優勢だ。一年近く前になるが、大和総研のレポート「資産運用のパッシブ化」で、①公募投信に占めるパッシブ型の比率が純資産残高ベースで77%にもなること、②米国では大型株に投資するパッシブ型の運用額がアクティブ型を上回ったこと、③運用成績はパッシブ型がアクティブ型より優れていると実証されたこと、④国の年金運用機関が優秀なアクティブ運用機関を見つけるのは難しいと考えていることを、厳然たる事実なんだなと悟った。

IR活動はアクティブ運用を前提(暗黙の了解)としていたのではないか。公開会社としての説明責任を果たす意義もあるが、自社をアピールして投資家を惹きつける意図がゼロという会社は考えにくい。別の言い方をすれば、パッシブの投資家に訴えるという行為はナンセンスだからだ。個人投資家が個人でパッシブ型のポートフォリオを組むことは考えにくいので、今でも彼らはアクティブ型の投資家と目することができる。では機関投資家はどうか?アクティブ運用のファンドマネジャーが対象となる。しかし彼らは運用業界の中で劣勢の立場にあるのだ。心情的に応援したくなる。

さて、新興市場に上場する銘柄がパッシブ型のファンドに組み入れてもらうにはどうしたらよいか。前投稿で述べたように中小型株のパッシブ(インデックス)型ファンドが限られるとなると、残された道はインデックスを構成する銘柄に採用されることだ。TOPIXであれば東証1部市場に昇格すればよい。1部銘柄となればETFが買ってくれる。

1部銘柄になるための時価総額基準は250億円。2部やマザーズからの鞍替えであれば優遇措置によって40億円にハードルが下がる。中小型株だからといって門前払いされることはない。そうとなれば1部を目指さない理由はない。めでたく新興市場にIPOできたならば地道に1部を目指すことが得策だろう。「新興市場銘柄の方がベンチャー感がある」と言っている経営者もいたが、東証1部銘柄のブランド力になびくのがノーマルだろう。
(注)東証で市場再編が検討されており1部市場の時価総額基準をリーマンショック前の500億円に戻す案があるらしい。まぁ、本来のあるべき姿、王道でしょうね。


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