関節リウマチは血清陰性と血清陽性で違いはあるの?リウマチ専門医が解説!

関節リウマチは血清陰性と血清陽性で違いはあるの?リウマチ専門医が解説!

関節リウマチは関節の腫れが起こり、関節破壊に至る疾患です。関節リウマチの診断には、リウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体(ACPA)が有用な検査です。

関節リウマチの分類基準ではRFとACPAが組み込まれており、重要なことがわかります。しかしながら、一部の関節リウマチ症例では、RFとACPAの双方とも陰性の血清陰性関節リウマチが存在します。

関節リウマチは血清陰性と血清陽性で予後に違いはない

RFまたはACPAが陽性の関節リウマチと、RFとACPAが両方陰性の関節リウマチでは疾患予後に違いはあるのでしょうか?以前は、関節リウマチの予後不良因子として、RF高値・ACPA高値が含まれていました[1]。しかし、現在の日本のガイドラインでは含まれていません[2]。

また血清陽性の方が、関節破壊の進行は速いとされていましたが、血清陰性でも関節破壊の進行が速い症例もあります。そのため、血清陰性だからといって、予後がよいというわけではないと考えられています。

関節リウマチは血清陰性と血清陽性で治療に違いはない

関節リウマチの疾患活動性の評価方法で代表的なものに、simplified disease activity index:SDAIがあります。腫脹関節数(28関節)、圧痛関節数(28関節)、患者評価VAS(0〜10cm)、医師評価VAS(0〜10cm)、CRP(mg/dL)の和で表します。治療目標は、低疾患活動性(SDAI 11点以下)、寛解(SDAI 3.3点以下)状態にすることです。
関節リウマチはメトトレキサートを含む抗リウマチ薬での初期治療で疾患活動性が抑えられない場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬などの次の治療ステップに進みます[2]。RFやACPAの陰性・陽性はこの治療ステップには影響はなく、陽性と陰性も同じ治療方針です。

それでも改善が乏しい場合は、別の生物学的製剤やJAK阻害薬を使う治療が推奨されています。生物学的製剤には、TNF阻害薬、IL-6受容体阻害薬、アバタセプトの3つのタイプがありますが、JAK阻害薬も含めて治療選択は並列の扱いです[2]。日本では、長期安全性データがある生物学的製剤の使用を優先しています。

血清陰性よりも血清陽性の方が効果がよいかもしれない生物学的製剤がある

治療は血清陰性と血清陽性、どちらも同じ治療が推奨されています。しかし、これまでの報告から、血清陰性と血清陽性で生物学的製剤の治療効果がやや異なる可能性があります[3]。

  • ①アバタセプト:血清陽性の方が治療効果はよいかもしれない

  • ②TNF阻害薬:RFやACPAが高力価だと効果が落ちるかもしれない

  • ③IL-6受容体阻害薬:血清陰性・陽性とも治療効果に対する影響は少ない

患者背景から使用は控えた方がよい生物学的製剤やJAK阻害薬がある

生物学的製剤とJAK阻害薬は、患者背景によっては控えた方がよいと考えられるものがあります[3]。

  • ①高度肥満:アバタセプト・IL-6受容体阻害薬は影響が少ない

  • ②結核既往:TNFは結核菌の封じ込めにかかわるのでTNF阻害薬は控えた方がよいかもしれない

  • ③生物学的製剤・JAK阻害薬単独治療:IL-6受容体阻害薬・JAK阻害薬が効果はよい

  • ④間質性肺炎合併:アバタセプトは間質性肺炎への影響は少ない

  • ⑤感染リスクが高い:アバタセプトは感染リスクが他より少ない

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