知らないとヤバい・危ない!薬物相互作用~免疫抑制剤事例集~

薬剤には、多かれ少なかれ薬物相互作用があります。事例をあげながら、併用する際にとても注意が必要な免疫抑制剤であるアザチオプリンとタクロリムスの2剤を解説します。

その①アザチオプリン(イムラン®️、アザニン®️)

ここでは、アザチオプリンと尿酸生成抑制薬の併用で汎血球減少をきたした例を紹介します。

事例紹介

70歳女性。7年前に巨細胞性動脈炎と診断されプレドニゾロン(プレドニン®️)7.5mg/日とアザチオプリン100mg/日の併用で維持療法を実施中。1か月前より汎血球減少傾向があり進行性のため精査入院(WBC1000/μL、HGB 6.4g/dL、PLT 5万/μL)となった。近医で高尿酸血症に対してフェブキソスタット(フェブリク®️)の処方が判明。汎血球減少をきたす背景の評価をしたが有意なものはなく、入院後に薬剤中止で改善を認めたため、アザチオプリンとフェブキソスタットの相互作用による汎血球減少と考えた。

膠原病・炎症性腸疾患で使われる薬剤

アザチオプリンはリウマチ・膠原病や炎症性腸疾患などで使用される免疫抑制剤です。キサンチンオキシダーゼ(XO)などにより不活性化され尿中へ排出されます[1]。

イシヤクにおいて、アザチオプリン製剤であるイムラン®️は、ステロイド減量や抵抗性のある症例に使用されると書かれています。

アザチオプリンと尿酸生成抑制薬の相互作用

アザチオプリンと相互作用があった尿酸生成抑制薬について説明します。
尿酸生成抑制薬とは
一般的に高尿酸血症で使用される薬剤には、アロプリノール(ザイロリック®️:AL)、フェブキソスタット(フェブリク®️:FEB)、トピロキロスタット(トピロリック®️:TOP)があります。作用は、XOを阻害することによる尿酸産生の抑制です[2]。フェブキソスタットとトピロキロスタットは、より強力にXO阻害する薬剤で[3]、フェブキソスタットはアロプリノールの200から1200倍のXO酵素阻害作用があります[4]。
尿酸生成抑制薬のアザチオプリンへの影響は
尿酸生成抑制薬(XO阻害薬)とアザチオプリンを併用すると、骨髄抑制の原因となるアザチオプリンの代謝産物が上昇[5]。アザチオプリンの添付文書では、アザチオプリンは併用前の量の1/3から1/4に減量することが記載されています。XOをより選択的に阻害するフェブキソスタットは、著明な骨髄抑制をきたす可能性があります。そのため、フェブキソスタットは併用禁忌です。

その②タクロリムス(プログラフ®️)

クラリスロマイシン(クラリス®️)により免疫抑制剤であるタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎機能低下をきたした例を紹介します。

事例紹介

65歳女性。間質性肺炎を伴う皮膚筋炎に、プレドニゾロン10mg/日とタクロリムス4mg/日で維持療法中。外来受診時の血液検査で、タクロリムスの血中濃度が普段の3倍に上昇しており、血清Crea値が0.8から2.0mg/dLと腎機能の悪化。本人に確認で数日前に咳がしつこい風邪のため、近医でクラリスロマイシンが処方あった。この背景からクラリスロマイシンによる血中濃度上昇、それによる腎機能低下と考察。

====================================
この記事の続きはアプリから無料でご覧いただけます。
よろしければご活用ください。
▼iosの方はこちら
https://apple.co/3setYVt
▼androidの方はこちら
https://bit.ly/3nso2Gv
また、引き続きnoteでもご閲覧可能です(有料)。
====================================

ここから先は

1,330字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?