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[読書ログ]「じごくのそうべえ」たじまゆきひこ

「じごくのそうべえ」
作:田島征彦
桂米朝・上方落語・地獄八景亡者戯より

ひょんなことから地獄に行ってしまったそうべえの、地獄での奮闘劇の面白さを描いたボリューム満点のおはなし。
子どもは天国よりも地獄のほうが興味があるという。確かにどうなってしまうのだろう、という不安と怖いもの見たさが勝るのかもしれない。
そうなると、童話にとって、”地獄”というモチーフは重要なんだろう。
たしかに日本昔話も少し怖いくらいのお話のほうがドキドキしながらも興味深く読んでいた気がする。

落語のほうは1時間ほどの大作落語のようだ。
実際の落語と対比させて、物語の作り方を紐解いてみたい。
しょっぱなから主人公は捌いた鯖にあたって死んでしまうという設定なので、時代や人物設定を変更して、地獄の描き方と転換のメインになっている鬼の腹の中で四人であちこち引っ張るシーンは落語によせる、という描き方に絵本はなっている。


第1回絵本にっぽん賞受賞の本作。
桂米朝さんが本作に沿えた言葉に心が燃えた。
自分も落語を題材にしたはなしをいつか書いてみたい。

むかしは、地獄極楽のおはなしは老人が孫に説いてきかせてきたものでしたが、今日では、もはや絶滅・・・という状態ですね。えんまが舌をぬいたり、三途の川や針の山の知識が消滅してしまったら、落語もやりにくくなります。この絵本がその穴埋めをしてくれたら・・・と念願している次第です。

桂米朝

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