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SEOで認知を獲得するのは効率が悪いという話【SEOの立ち位置】

こんにちは、アイオイクスのいしと(@idist_410)です。普段は主にSEOコンサルティングや、メディア運営をしています。

普段、SEOの仕事をしているので、SEOのコラムを書いてみることにしました。

SEO(検索エンジン最適化)はWebマーケティングの手法のひとつですが、あくまでも「手法のひとつ」であって、「何にでも使えて効果が出る」という万能な施策ではありません。

せっかくSEOにリソースを注ぐのであれば、効率的に行った方が良いと思っています。

そこで、この記事では、「SEOで認知を獲得するのは効率が悪い」ということについて、その理由を踏まえた上で簡単にまとめてみました。

SEOの特性

SEOは検索という行為をする「能動的なユーザー」に対して、有効なアプローチです。

言い換えると、知りたいことやしたいことがはっきりしている「顕在層」に有効なアプローチといえます。

一方で、SEOは特に明確な目的があるわけでもない「潜在層」にアプローチするのは難しい施策です。

上の文章だけだと若干わかりにくいと思いますので、マーケティングでよく使われるフレームワーク(枠組み)を使って考えてみます。

AISASというフレームワークで考えるSEO

マーケティングでは、施策の全体像を考えるために「フレームワーク」がよく使われます。

AISASとか、AIDMAとか、ULSSASとかいわれるものです。

ここでは、シンプルでわかりやすい「AISAS」を使って説明します。

AISASとは、以下の頭文字を取った言葉です。

・A(Attention):認知
・I(Interest):興味・関心
・S(Search):検索
・A(Action):行動
・S(Share):共有

「ある製品を知り、興味関心を持ったら調べて比較検討し、実際に購入したら、その体験をSNSや口コミでシェアする」という流れを示したものですね。

※「AISASはもう古い」と思う方もいるかもしれませんが、ここではあくまでもわかりやすさ重視でいきます。

SEOはAISASでいうところの、「SA」に効果的なアプローチとなります。「Search→Action:検索→行動」です。

検索→行動の流れは、「既に興味・関心があり、検索して比較検討する段階」です。言い換えると、「かなり成約(コンバージョン)に近い段階にある」ということです。

たとえば、「新しいスマホが欲しい人にスマホの情報を提供する」のに、SEOはかなり向いています。「情報が欲しい人に情報提供する」というシンプルな流れです。

具体例:採用系SEOメディアの構築

一方で、SEOを通じて、「Attention→Interset:認知→興味・関心」の段階のユーザーにアプローチするのは、なかなか厳しいんじゃないかなと思います。

たとえば、「自社の採用を強化するためにSEOメディアを運営する」というケースです。

仮に「年収 上げる 転職」「IT企業 転職」のようなワードを狙って、上位表示ができたとします。

しかし、これらのワードを取っても、自社への採用を増やすことは難しいと思われます。

この場合、ユーザーのニーズ(検索意図)としては、「転職したい」であって、「◯◯という企業に転職したい」ではないからです。

「このサイトを運営しているのは◯◯という企業なのか」と思うことはあっても、急に「じゃあ◯◯の面接を受けてみようかな」とは思わないはずです。また、認知の仕方が弱いので、5分後には忘れていることでしょう。

もし、自社採用のためのメディアを運営するのであれば、SEOというよりは、SNSを絡めた運用軸を考えた方が良いと思います。認知というよりは、成約(コンバージョン)を最適化するイメージですね。

これは僕の主観ですが、Googleで何かを検索した時に出てきたメディアの名前や、それを運営している企業を覚えていることはほとんどありません。

例外的に、ferretやmybestのような大手メディアは覚えていますが、それは何回も検索結果で見かけているからです。

SEOで認知を獲得するためには、複数のキーワードで上位表示し、検索を通じてユーザーに覚えてもらう必要があります。

そのため、「◯◯という企業を知りたい」というニーズを作り出すためには、やや非効率な施策だと思います。

結論:認知は別で獲得し、SEOでコンバージョンを狙うのが効率的

結論としては、「マス広告やSNSで認知を獲得しつつ、SEOでコンバージョンの受け皿を作るのが良い」という形になります。

言い換えると、「SEO単体で認知→成約まで狙うのは難しいので、他の手法と合わせて活用した方が良い」ということです。

もちろん、
・どれだけのリソースを注げるか(予算や人数)
・どのくらいの時間軸で考えるか(短期・中期・長期)
という観点を含めると、また変わってきます。

しかし、基本的には、認知獲得を目的としたSEOは効率が悪いかなと思うので、SEOに固執せず、他の手法も合わせて検討するのが良いですね。

まとめ

長くなってしまいましたが、まとめると、以下のとおりです。

・SEOは成約に近い段階において、有効な施策
・一方で、認知を獲得する目的でSEOを行うのは効率が悪い
・SEOに固執せず、全体像から施策を考える

SEOはWebマーケティングにおいて効果的な施策ではありますが、「SEOだけを考えても結果は出にくいな」と、日々肌で感じています。

今後は、マーケティング施策全体の流れを踏まえた上で、「どの段階で、どんなアプローチをするのか」を考えていく必要がより高まっていきそうです。

今回の記事は以上となります。

今後もこんな感じのコラムをたまに投稿しようかと思いますので、よかったらフォローしていただけると嬉しいです。


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