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変わらずパレスチナは悲惨でも、若者は恋をする。『パラダイス・ナウ』と『オマールの壁』はなぜ恋を描くのか。

いま世界は新型コロナウイルス一色ですが、これまで存在してきた問題が消えてなくなったわけではありません。むしろこれまで苦しんでいた人たちはさらに苦しい立場に置かれていると考えて間違いありません。

そんな場所のひとつがパレスチナ、長く続くパレスチナ問題でパレスチナの人々は貧困などの困難にあえいでいます。今このときパレスチナの人々がどうなっているのか心配でなりません。

私たちにできることは彼らのことを知り、情報を集め、支援できる時が来たら支援すること。

その最初の「知る」ために最適な映画を2本、UPLINKの3ヶ月60本見放題の中から紹介します。

恋が世界を広げる『パラダイス・ナウ』

2本はどちらもハニ・アブ・アサド監督の作品ですが、1本目は2005年の『パラダイス・ナウ』です。自爆テロの実行者に選ばれた若者が恋に落ちたことからためらうという物語。パレスチナ問題の根っこにある価値観と選択肢の少なさを描きます。


パレスチナを身近に感じられる『オマールの壁』

2本目は2013年の『オマールの壁』。こちらはイスラエル兵の襲撃計画を立てた若者たちの関係を描いたサスペンス。こちらも「恋」が重要な要素になり、パレスチナの人たちと私たちの距離を縮めてくれるような映画になっています。


なぜ恋を描いたのか

ハニ・アブ・アサド監督は2本の作品でパレスチナの苛烈な状況を描きながら、どちらも恋をテーマに選びました。それはなぜなのでしょうか。

『パラダイス・ナウ』の中でも書きましたが、その最大の理由は恋が世界を広げるからではないでしょうか。若者が自爆テロの実行車になる理由は色々ありますが、そのひとつは他の方法に目が向かない世界の狭さです。恋は相手のことを理解したいと強く思うもので、それによって自分とは異なる視点を得ることができ、世界が広がります。そうすると他の選択肢が目に入ってくるのです。

もう一つは、恋が世界中のあらゆる人が理解できることであり、その時の感情を共有できるものであるために、登場人物に自己を投影しやすくなるということ。パレスチナという遠い場所の複雑な問題に対して当事者意識を持つためには、その問題に直面している人に共感することが必要で、それを実現するのが恋なのです。

パレスチナの若者の恋物語を通して私たちは、彼らが置かれている状況をほんの少しだけ感じることができる。それがパレスチナを知る第一歩になるのです。

この2本はフィクションですが、そこには現実が反映されていて、その現実を感じることが何よりも大事なのだと思います。

*UPLINKの3ヶ月60本見放題プランに、寄付込みのプランができました。


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