見出し画像

あいちトリエンナーレの補助金不交付に法的根拠はありそうだけど、本当にそれでいいの?という話(私見)

あいちトリエンナーレの文化庁の補助金が不交付になったのが検閲だなんだと騒ぎになっていて、私も不交付には大いに疑問をいだいていますが、みんな感情的になりすぎているのではないかと思って、少し事実関係を調べてみました。

あいちトリエンナーレが受ける予定だった補助金は、「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」というもの。
http://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/1413006.html

その募集案内には
「実績報告書において、実績が計画と著しく異なる、効果や成果の把握ができていない等の状況が認められた場合は、交付決定を取り消すことがあります。」
とあります。

これを見る限り、事業が完了した後に実績報告書を精査して、計画と著しく異なると判断した場合には交付決定を取り消すということであり、今回のように開催中に取り消す事はできないのではないでしょうか。

さらに言えば果たして「著しく異なる」のかにも議論が必要です。「不自由展」の中止に伴い複数のアーティストが出展を取りやめたことで「著しく異なる」状況になったと判断できるとしても、それはテロ・脅迫と行った外部からの圧力によって変更が生じた場合でも事業者にその責任を負わせるということです。その部分も含めて、終了後にじっくり議論をしてから交付の可否を決めても遅くなかったのではないでしょうか。

ただ、ハフィントンポストの記事によると、取り消しの根拠は募集規定に違反したことではなく、「補助金適正化法等」とのことです。

「等」が何なのかはわかりませんが「補助金適正化法」における根拠は、第十条だと推測できます。

第十条 各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をした場合において、その後の事情の変更により特別の必要が生じたときは、補助金等の交付の決定の全部若しくは一部を取り消し、又はその決定の内容若しくはこれに附した条件を変更することができる。

この文言を見る限り、今回のような決定は「特別の必要」があれば可能のようです。

となると、問題はこの「特別の必要」が恣意的に判断できてしまうということなのではないでしょうか。

同じハフィントンポストの記事には、萩生田光一・文科相は「中身についてはまったく文化庁は関与しておりません」と発言したとありますが、今回の決定のタイミングを考えると、「不自由展」の再開を阻むための圧力と捉えられても仕方がないでしょう。

萩生田大臣は「何か相談があれば寄り添って対応したと思います」とも発言しているそうですが、テロ・脅迫にさらされている今こそ国が寄り添うべきときなのではないかと私見ですが思います。

それをあえていま不交付を決定するのは、圧力にほかならない。官僚や政治家は表面的には体裁を整え、正しそうなことを言います。でも、表面的には正しくてもそれが権力の濫用に当たることはあり、今回はそうだとしか思えません。

文化庁には不交付の決定を取り消し、事業が計画通り遂行されるよう寄り添って、事業完了後に交付の是非について精査してもらえるよう望みます。

こちらのキャンペーンもご参考に。


Cover photo by Armin Lotfi on Unsplash

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?