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シリーズ第7弾『医科併給』


先日の日本柔整外傷協会主催特別セミナー、

『王道の鎧』

116名の先生にご参加頂きまして、誠にありがとうございました。

黒と緑 財務業績プレゼンテーション

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私からは『学校で教わらない保険のイロハ』と題し、保険請求の基本のキの字から実例に基づく返戻対策やイレギュラーな案件などの請求のコツを、

スライド100枚、2時間半に渡って講義させて頂きました。

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……長すぎ(笑)


セミナー以降、参加された先生方からたくさんのご相談を頂きました。

その中でも特に多かったご相談が、今回の題にあります、

『医科併給』による返戻対策です。

この『医科併給』は接骨院において必須となる『医師連携』に非常に大きな影響があります。

セミナー中にも解説させて頂きましたが、掘り下げていきましょう。



1.医科優先の原則


ここである事例をご紹介します。

平成31年3月、愛知県国保運営方針連携会議ワーキンググループでの文章を一部抜粋しました。

〇内閣衆質156第120号(H15.9.2)
現に医師が治療を継続している疾患に対して、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が施術を行ったとしても、療養費を支給することは認められていない」(一部抜粋)
柔道整復師が取り扱う療養費の支給は、医師が取り扱う療養の給付の補完的役割であることから、同一部位に関して柔道整復師と医師が同時に治療(施術)を行った場合は、医師の請求を優先すると考えられる。(一部抜粋)


といったやりとりが公開されています。


簡単な理解としては『医師>柔道整復師』という構図があるわけです。


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同じ箇所の治療や同日に行った治療に関しては『医師』が優先されるという事です。悔しいですが医療においてのヒエラルキーは医師が頂点ですから…


つまり、医科併給の理由で療養費の支給対象にならない条件は、


◇医科でリハビリを受け同日に接骨院にもかかること
◇医科と同部位のリハビリをすること


※同月に2カ所以上の接骨院に同時に通院するのも支給対象になりません。

※骨折後療同意の為の診察や経過観察など連携が必要な場合の診察は認められています。


2.『医師管理下』


次に知っておかないといけないのが、『医師管理下』という言葉です。


こんなケース、先生の院でもありませんか?

重い物を持ち上げてぎっくり腰(急性腰痛)になってしまったAさん。近隣の整形外科受診し、レントゲンで骨に異常なし、湿布で様子を見てと1週間分の湿布を出されました。しかし痛みが変わらず接骨院受診した。


いままでは診察だけでリハビリをしていませんので、整形外科からの『転院』として申請可能でした。


ですが最近問題になっているのは黒字の部分、『1週間分の湿布』です。


患者さんは診察日の1度しか整形外科に通院していないのに、1週間分の湿布で経過を診ているという「投薬期間による医師の管理下である」という考えとして療養費支給対象期間ではないと指摘されるようになりました。


この『医師管理下』は、現在のところ100%申請できないというルールはありません。保険者が医療費削減の名のもとに、「医科優先の原則」を拡大解釈し療養費支給対象の範囲を狭め始めています。


しかし厳密には保険者や地域によってもまだ差があるようで統一されていませんが、

今後、この投薬期間による医師管理下については厳しくなっていくという理解をされたほうが間違いないかもしれません。


先生は問診表に服用している薬や投薬があるかを聞く項目がありますか?


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もし投薬が現症状に関係するものであれば、その期間『万が一でも保険が使えない可能性がある』と一言伝えておくだけでもあとからのトラブルを防げるので、患者さんにとっても親切ですね。


問診表に項目が無いなら、今すぐに作ってください。



3.どんな条件なら大丈夫なのか



『医科併給』に敏感になり、ちょっとでも医科と被っていると保険使えない!!と啓蒙しすぎると、患者さんの接骨院への「受診抑制」を自分でかけてしまうことになります。


しっかりと申請できる条件を理解して、必要な場合に患者さんに説明できるようにしていきましょう。

1.同日または同月に整形外科で診察する

2.別の接骨院または医療機関から当院に切り替える(転院)

3.医師同意を得る為の診察依頼

4.違う部位のリハビリ(整形:頚部、接骨院:足関節)


この4つです。この条件でしたら申請可能ですので、整形外科などの受診があるようでしたら、問診の時点でしっかりと説明しておきましょう。


4.さいごに


医科併給については現在でもかなり返戻が増えており、面倒になってきています。


患者さんの申告次第によって接骨院側は全く分かりませんので、


「整形に行ったか?」「薬は出たのか?」「何日分出たのか?」


しっかりとコミュニケーションを取った上で患者さんの痛みや怪我に向き合っていってください。


返戻の返し方や具体的な事例については、今後マガジンにして公開していく予定ですのでお楽しみに。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。


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