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0807

蝉が地面でひっくり返っている。
茶色、緑色、灰色。死にかけなのか、死んだのか。Dying or dead?
中学の英語の授業を頭の傍に残しながら、近くの自販機まで水を買いに行く。

昔は自動販売機のことを自販機、と呼ぶのが嫌だった。いつ、自分の中で許されてしまったのか、考える。詰まっているのは、そんな今の自分への少しの遣る瀬無さだけで、それ以上ではない。昔の自分が嫌だった、というそれだけが、今の苦味の唯一の理由になる。
絹を取るために熱で死んでしまう蚕のことを思う。箱罠を置いてかかった熊のことを思う。

親しさと、居心地の良さは無関係。
思想が違う話は、あまりにも根本から違うと気持ち悪くなってしまう。猫と話が通じないのはいいのに、人間と話が通じないと、真っ白な空みたいに居心地が悪いよ。許せる?許せない?
他の星の話ならいいけどそんなの、僕の世界に関わらないでよ。

許せる人がいない。耳を塞いでしまいたい。

時間がない。
僕は君を、君は僕を愛せるのか、考えるのは無駄だよ。やってみなくちゃ。
大丈夫って言うから、大丈夫って言って、今すぐに、眼を見て。