中国航空博物館に行ってきた5(川崎九九式48−Ⅱ)

屋内展示場にはたくさんの飛行機が雑然と展示されているが、これだけは見ておきたいのが川崎九九式だ。

川崎九九式双発軽爆撃機(キ-48)昭和12年12月末、陸軍より川崎に対して試作指示があった。軍の要求は対ソ作戦用の機動性に富む双発軽爆撃機(戦術爆撃機)で、ソ連のS.B.高速爆撃機に上回る性能を狙っていた。主な条件は、「1.航続力350km/hで6時間以上。 2.最大速度480km/h。3.上昇時間5,000m/10分内。4.爆弾搭載量400kgで胴体内装備可能。5.乗員4名。前方、後上方、後下方に銃座配置。各7.7mm旋回銃1、後上方は連装銃。 6.発動機はハー25 2基。 7.緩降下爆撃可能。」というものだった。川崎は、土井武夫技師を主務に設計し、昭和14年7月に試作1号機を完成させた。空冷双発、引き込み脚という当時としては進歩的な設計で、実用性も十分な野心作であった。その形状から「金魚の腹」とか「おたまじゃくし」と言われる特徴的な外形であった。昭和15年秋頃から終戦まで長期間にわたり活躍した。ほとんどの陸軍爆撃部隊、全戦域で使用された。積載量は少なかったが運動性が良く、機動性に富みつねに最前線で重用された。本機がその特性をもっとも発揮したのが日華事変末期から太平洋戦争初期にかけての夜間強行爆撃で、援護戦闘機を同行しない長距離爆撃であった。太平洋戦争後期には時代遅れになり、末期には爆装して特攻機として使われた。(参考:日本航空機総集川崎編,出版共同社,1960)

展示されている機体は人民解放軍に使用されたものということで白く塗られている。復元状態はかなりいい加減な感じだ。冷寒地で使用されたためエンジンナセルの前面にシャッターがついている。

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中国語と英語による説明プレート

「中国航空博物館に行ってきた6」につづく

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