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飛行機の本#16シェパード(フレデリック・フォーサイス)

シェパードは羊飼いという意味、迷った羊を群れに返す。第二次世界大戦中、ドイツへの爆撃後に攻撃を受けてボロボロ、ヨタヨタになった爆撃機が帰ってくる。そんな爆撃機を助け基地へ導いていたモスキート戦闘爆撃機の話だ。

フレデリック・フォーサイスは、1938年生まれのイギリスのミステリー作家。実は飛行機に関する本も書いていて、「翼を愛した男たち」(GREAT FLYING STORIES)というアンソロジーなんかもある。そのアンソロジーにもとりあげた自分の作品がこの「シェパード」だ。自分自身もイギリス空軍にいたことがある。その後、作家となるがMI6のスパイとしても活躍していたことを告白している。映画にもなった「ジャッカルの日」や「オデッサ・ファイル」が代表作だ。ギニアのクーデター支援もしていたという。波乱万丈の生き方をしている。

3つの短編で、他の作品には飛行機は出てこない。しかし、かなり強烈なブラック落ちがある。

「ジャッカルの日」はビデオで何度も見た好きな映画だ。ドゴール暗殺未遂事件を題材にしてクールに暗殺者の行動を描いていた。自動車のマフラーに銃を隠して国境を越えるシーンは印象的だった。

この「シェパード」の本には短編が3つ収められている。「ブラック・レター」「殺人完了」そして「シェパード」だ。いずれもきつい落ちがある。「シェパード」だけが飛行機に関する本だ。電気系統の故障で無線もレーダーもメータも動かなくなった「ヴァンパイア」ジェット戦闘機が「モスキート」戦闘爆撃機によって誘導され、滑走路に着陸する話だ。もちろん、きつい落ちがある。


デ・ハビランド・モスキート
飛行機の本#10海辺の王国(ロバート・ウェストール)で紹介している
https://note.com/ishimasa/n/n5ad05ef690e9


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デ・ハビランド・バンパイア(de Havilland DH.100 Vampir)
イギリスの初期のジェット戦闘機である。開発は1943年で、まだ第二次世界大戦中であった。航続距離が短い点を除けば全般的に性能がよかったため、戦後も長く第一線で活躍した。練習機型は1990年代まで使われたという。

アンソロジー版は、「羊飼い」として伏見威蕃訳で出ている。

「シェパード」
フレデリック・フォーサイス 著
篠原 慎 訳
角川書店   昭和50年12月10日 発行

「羊飼い」
フレデリック・フォーサイス 著

伏見威蕃 訳
原書房    19975月14日 発行


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