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まなびの隙間 「老いる」とは

おはようございます!今日は 空を見上げながら考えること


老いる

老いること たぶん 多くの方が好きでないこと
私は 以前の高齢者施設の入所相談の業務をしたことがある
終活という言葉が 世の中に出始めた時で
ご家族からの相談が多い中 ご本人からのご相談や見学も増えていた

「自分で判断できるうちに 片付け 最期のことも決めておきたい」
素晴らしいと思った
もちろん 本当に自宅を処分し 持ち物を最低限に 入居された方もいたが多くの方はそこまでの決断には至らない

病気が進行した 体が思うように動かなくなった と自宅での生活が不安になって、家族にすすめられて 入居を決断するが自然な多くの流れだった

元気な方でも入居できるタイプの高齢者施設であったため なんとか自分で入居を納得して来られる方がほとんどだった

私の働いた時期で 一人だけ 施設の前の駐車場で嫌だと拒否される方がいた 
一人で自由気ままに田舎で農業をして元気に生きてこられた方
病気が重篤になり 家族の説得でなんとかここまで連れてこられたようだ
病気があるとはいえ エネルギーがたくさんあって 自分をしっかり持ち続けていらっしゃる

なんとか入居したものの 集団生活は拒否 自分の好きなものを家族が準備し 自分のタイミングで食事し ほかの方とはあまり関りを持たなかった
掃除も受け入れず ものであふれていた

重なる姿

この方と同居している母は常々 同じタイプではないか と感じている

エネルギーがたくさんあって 自分をしっかり持ち続けている
一人暮らしではないけれど おしゃれで爪を長く伸ばし 15㎝のヒールを履きこなし 自分で縫った昔の洋服が今でも着られることが自慢
長く伸ばした髪の毛をたくさんある髪飾りの中から選び 編んだり、まとめたり 美意識が高い

自分はもちろん 3年前に亡くなった父が老いて 立ち上がれないのを受け入れられず
なんとか歩けと 無理を言っていた

自分が老いて 動きが不自由になる 思うように生きられなくなる
なんて 母には到底 受け入れられないことだっただろう

老いに向き合えるのか

そんな母の脳は 気づかないうちに委縮していった
体は元気なのに ”悔しくて 悔しくて たまらない”
言わなくても伝わってくる苛立ち 
それは父が健在な時からだった

きっと誰しも 通る道なのかもしれない
施設には もう年だから仕方がないね と優雅に笑う方もおいでた
今の自分を受け入れる   できる自分をあきらめる 
ものすごく個人差がある
その先に モノや人への執着 こだわりから解放され ふわーと生きられるようになる そんな時期を過ごしてきている方を素敵だと思ってみていた

ものすごく勝手な見方かもしれないが
神々しささえ感じた

集団生活にいると いろいろな時期の方を見ながら共に生きることになる
老いを受け入れられず うつになる方もいる
人の手を借りることを 受け入れて生きている方がそばにいると 少し感じ方は変わるかもしれない

それは 老いだけでなく 病気やケガで入院しているときも同じかもしれない

自分らしく生きる それは 素敵なこと
でも 自分が強くなりすぎると 
老いる自分を受け入れるのは少し難しくなるのかもしれない

洋服

母は同居する際も一切洋服は捨てないと 宣言していた
一旦片付いていた洋服が 通路の浸食し 服をかき分けて生活していた

父が逝去し 服をかき分けることが億劫になった
服に囲まれた クローゼットからの寝室は 足を踏み入れることのない場所になった
居間で服を着たまま寝て、起きて たまに着替える
料理を作ることは得意だったが それを全くしなくなった
ケアマネさんが1年以上通って デイサービスに誘ってくれたが 
今はまだいい と断り続けた

でも 外出するときは ヒールにキメキメで
かなり重いバックを2つ持って きびきび歩いていた

もちろん 服を処分することなど 許すことはなく
わたしは ご飯を準備し 周囲のごみを捨て 隠れて 掃除や洗濯をする
外に出ることは好きで 1日何回も外に出て 周囲をパトロールする
無断駐車の車をのぞき込み たばこのポイ捨てに眉をひそめる
空き地で野花を摘んでくる 

季節がよくなったためか その範囲がぐっと広がった
今までは2階から歩いている様子がみえる範囲だったので
自由にしていたが これからどうしようか そう思っていた矢先だった

1段階進んだ

クリアになったり 不穏になったり 今までも繰り返し
ボーっとしているときには
私の誘導で着替えやお風呂に入ってくれる時もあった

とうとう 失敗の片付けが自分ではできなくなった
今週になって 洗濯物が山のように増えていた
受け入れてもらわないと どうしてもいけない大きな壁
なんとか 話して 今は受け入れてもらった 履いてもらった

やはり 寝室を使えるようにしよう

服を処分

母の目を盗んで 片付けはしていたものの
道を作らなければ どうにもならない
道をふさいでいる パイプハンガーにかかった洋服をごみ袋にいれていく
シミのないきれいなもの あると母の心が華やぎそうなものは少し残して
私の軽自動車はごみ袋でパンパンになった

道ができた
バルサンを焚いて 布団を洗って
それから  ‥‥‥‥‥‥‥‥ 母は寝てくれるだろうか


母は気づくだろうか 服が減っていることを





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