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学生時代の友人にAちゃんという女の子がいる。

Aちゃんは昔も今もスリムな体型で、クールで上品な顔立ちをしている。

新卒で某有名企業に勤め、年収の高い職業の代名詞のような肩書きの旦那さんと出会い結婚した。

結婚式は、日本の若い女の子なら100%羨むような会場での豪華でお洒落な式だった。

ふたりのお子さんを出産し、住所から思うにおそらくタワーマンションに住み、今は専業主婦をしている。

2023年に皆(便宜上の表現である)が欲しがるもの“すべて”を持っている女の子と言っていいだろう。

そんな別世界の住人とも言えるAちゃんは、なぜか私のことが好きだ。

昔から私の世話を焼いてくれていた。

かといってお高くとまる訳でもなく、Aちゃん自身の悩みを打ち明けてくれることもある。

心のこもった贈り物をしてくれる。

私はこの先Aちゃんに何をしてあげられるのだろうか?

何を与えられるのだろうか?

すべてを持っているAちゃんが欲しいもの、私にはもうわからない。

かといって、湿度のある劣等感を含んだ質問をするわけにはいかないのだ。

Aちゃん、今何が欲しいですか。

昔みたいに、私が描いた下手くそな似顔絵を喜んでくれますか。

学生のとき、誰もいない空き地で新聞紙にくるまって、寒いねって言いながら一緒に見た冬の流星群を覚えていますか。

もう何もわからないけど、友達でいてくれますか。

なぜかこんなことを考えて泣いてしまう夜を、私を、許してくれますか。

Aちゃんの幸せを願っています。

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