「すべてがFになる」 (リーグ第33節・鹿島アントラーズ戦:3-0)
ACLのBGパトゥム・ユナイテッドFC戦から始まり、京都サンガF.C.戦、そして鹿島アントラーズ戦。キッカーに任命された脇坂泰斗は、これで公式戦3試合連続でペナルティキックを蹴っている。
ボールを奪いに来る相手選手の矢印を見極めながら、巧みなターンで剥がす名手は、その正確なキック技術と鋭利な観察眼をPKにも生かしているように見える。
この日は鹿島のGK早川友基の動きをギリギリまで観察し、冷静に逆をついてゴールネットを揺らした。これでPKだけで3試合4得点。プロ6年目にして初めて蹴るようになったというが、これで4回連続成功中である。
試合後のミックスゾーンに現れた脇坂泰斗は言う。
「PKは絶対に決めるという気持ちと、外したとしても仕方ないという割り切りがなければ蹴る資格はないので。チーム全員で取ったPKなので、責任を持って蹴ることが大事だと思っています」
今シーズンの彼は、「言葉の強度」が高い。
なのでミックスゾーンでは、ついつい言葉を聞きたくなって質問してしまう。パフォーマンスが高いところで安定してきた夏以降は、特にそうである。
終わってみたら3-0というスコアで勝敗がついた。
ただ難しい時間帯もあり、立ち上がりは強度の高いハイプレスとロングボールの揺さぶりを徹底してくる鹿島アントラーズにペースを握れない難しさがあったように見えた。
ビルドアップをしようにも、後ろから差し込む縦パスが中盤に入らず、背後を狙うロングボールが多めになっている。ただ長いボールを選択しても、レアンドロ・ダミアンへのロングボールは屈強なセンターバックコンビに弾き返され、スペースに走るマルシーニョも、マンマーク気味に対応する須貝英大に距離を詰められて、うまく打開できない状況だ。
中盤は窮屈にさせられて、前線では時間が作れない。そんな展開が続くあの時間帯をどう打開していくべきだったのか。
中盤が狭くても、それでもセンターバックから縦パスを差し込んでほしいのか。それとも、裏に狙ったボールで相手の陣形を間延びしてさせてほしいのか。
そこの見解が気になったので、率直に脇坂泰斗に尋ねてみた。この日の鹿島の守り方を踏まえた上で、彼は話し始めた。
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