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「大久保嘉人ってこうやって点を取っていたんだな。あの瞬間、相手も足が止まっていて、でも俺だけ信じて疑わなかった」(中村憲剛)。勝利を決定付けた追加点。その布石となった前半の場面とは?(リーグ開幕戦・大宮アルディージャ戦:2-0)

いしかわごう

NACK5スタジアムでの大宮アルディージャ戦は2-0で勝利。

 小林悠と中村憲剛の開幕戦弾で勝ちきりました。

 この試合で特筆すべきは、先制した後の試合運びだと思います。
70分ぐらいから、大宮がパワープレー気味に攻撃に転じた85分ぐらいまで、フロンターレはほとんどボールを失わずに時計の針を進めていました。

 縦に急いで追加点を無理に狙うのではなく、奪いに来る相手を後ろでいなすかのようなボール回しをし続けました。その意図について、大島僚太は「疲れていたので」と笑っていましたが、ボールを握るサッカーができると、こういうゲームのクローズの仕方ができるわけです。見事なゲームコントロールで、とても安心して試合を見ていられました。

 もっとも、これはミッドウィークのACL水原三星戦で、攻撃を縦に急ぎすぎた反省を生かしての試合運びでもあります。

 縦に速いサッカーをするのは決して悪いことではありませんが、縦に急いでフィニッシュまで持ち込めずに相手に奪われる状態が続くと、チーム全体が間延びしている状態で相手のカウンターを喰らうことにもつながります。

 こういう展開が連続すると、どうなるでしょうか。
攻守が入れ替わるたびに、選手はアップダウンを繰り返すので、体力を大いに消耗していまいます。もちろん、相手は敵陣で攻め残りしている状態ですから、カウンターからピンチを招く場面も増えていきます。ACL水原三星戦ではそういう展開にハマってしまいました。

 しかし大宮戦のこの時間帯のように、あれだけ長い時間ボールを保持していると、攻め残りをしてカウンター要員になっている相手の前線も、自陣に戻ってしぶしぶ守備をしなくてはいけなくなります。すると、こちらがカウンターを受けるリスクが減るわけで、ボールポゼッションが守備の安定にもつながるわけです。

 では、なぜあの時間帯にこれだけボールをポゼッションできたのか。
そこは本文で詳しく語りますが、リードしている状況でオープンな展開には持ち込まず、しっかりとボールをつないで時間を進めてしまう。そして最終的には追加点を挙げたのですから、実にしたたかな試合運びができたと思います。

では今回のレビューです。ラインナップはこちら。

1.前半のサイド攻撃は、なぜ機能しなかったのか。サイドチェンジした「その先」で、足りなかったものとは?

2.「中央はこうやってこじ開けよう」。前半20分、輝けない前線に、中盤のクラッキたちが見せた崩しのレクチャー。「それを家長昭博が覚えたら、とんでもないことになる」と期待する中村憲剛。

3.「この前の水原戦で、『途中から入ったら、おれ狙うから』とモリ(森本貴幸)に言っていた。そうしたら二人とも(試合に)出なかったんで(笑)、代わったときに『モリ、(GKとDFの)間ね』と」(登里享平)。機能した後半のサイド攻撃と、先制点の連続CKを呼び込んだ、登里享平と森本貴幸のホットラインにあった打ち合わせ。

4.「シンタロウは真ん中にパスをつけてくれる。ビルドアップに関しては余裕を持ってやれていた」(大島僚太)。熊本兄弟センターバックコンビで完封。車屋紳太郎のセンターバック起用を読み解く。

5.「大久保嘉人ってこうやって点を取っていたんだな。あの瞬間、相手も足が止まっていて、でも俺だけ信じて疑わなかった」(中村憲剛)。勝利を決定付けた追加点。その布石となった前半の場面とは?

 以上5つのポイントで、冒頭の文章も入れると全部で約7500文字です。試合翌日取材もありますので、読み応えはあると思います。

なおプレビューはこちらです。答え合わせにどうぞ。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ開幕戦・大宮アルディージャ戦)

では、スタート!

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この続き: 6,952文字

2017年シーズンのリーグ戦第1節〜第17節までのレビュー集です。ACLや天皇杯のレビューは含まれておりません。

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いしかわごう

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いしかわごう
サッカーと将棋をコンテンツ化するフリーランスです。Number Webなどに寄稿。著書は「将棋でサッカーが面白くなる本」、「川崎フロンターレあるある1&2」など。「サッカー脳を育む」、「サッカー上達のためのマインドとメソッド」など中村憲剛の著書の構成も担当。