「右で作って、左から仕留める」。狙い通りに機能した右サイドのレフティ起用で2得点。そしてラストプレーでの水漏れはなぜ起きた?(リーグ第8節清水エスパルス戦:2-2)
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「右で作って、左から仕留める」。狙い通りに機能した右サイドのレフティ起用で2得点。そしてラストプレーでの水漏れはなぜ起きた?(リーグ第8節清水エスパルス戦:2-2)

等々力競技場で行われた清水エスパルスとの試合は2-2の引き分け。

 この清水戦のプレビューでの注目ポイントとして、右サイドエリアを縦に区切ったときのフロンターレの縦関係をあげました。具体的に言えば、右サイドハーフの三好康児と右サイドバックの登里享平ですね。鬼木監督は右サイドエリアに左利きの選手を縦関係で並べるという配置を行いました。

 左利きの選手が右サイドにいると、中にカットインして左足でシュートを打つという形が出しやすくなります。メッシがその典型ですね。なので、登里からの左足の縦パスを受けて、三好が鋭く切り込んでシュート・・・・この形での得点が生まれることを期待したいと、プレビューでは書きました。

 そしてこの清水戦。
2得点の起点になったのは、右サイドの三好康児。62分の同点弾は、右サイドで相手を引きつけて、三好が逆サイドに展開したクロスを、大外にいた阿部浩之がダイレクトボレーで決めた形です。中村憲剛が決めた2点目も、右サイドで三好康児が左足であげたクロスが起点となっています。

 ここ最近、決定機が多く作れなかったチームにとって、こういう崩しの形が作れたことは収穫と言ってよいと思います。

 例えば、去年の風間フロンターレでは、「左で作って、右から仕留める」という形がありました。

 左サイドで車屋紳太郎や中村憲剛が攻撃の起点を作ることで相手の守備陣形を左に引き寄せると、中央の大久保嘉人や、右サイドハーフの小林悠がナナメに走り込む攻撃を繰り出してチャンスを作っていました。さらには大外からエウシーニョが絶妙なタイミングでスルスルとオーバーラップしてきて、フリーで受けてゴール前でフィニッシュに絡むというわけです。

 相手からすると、狭いエリアでも正確な技術でつないで崩してくるフロンターレだからこそ、中央に人数をかけて真ん中の門を堅く閉めてきたり、さらにボールサイドに人数をかけてコンパクトな守備でなんとか奪おうとします。なので、フロンターレとすれば、ショートパスで左サイドで中央にジャブを入れつつ、右サイドが空いてくると、狙い澄ましたタイミングで大外からエウシーニョという攻撃パターンがとても効果的でした。これが「左でゲームを作って、右から仕留める」というわけです。

 しかし今年は開幕前の練習試合でエウシーニョが負傷。
長期離脱中のため、「大外からエウシーニョ」が使えません。あの攻め上がるタイミングと嗅覚はエウソンならではですから、万能型プレイヤー・田坂祐介にエウシーニョと同じ仕事を求めるのは酷というものです。

 そのため、攻撃ではこういう狙いがスムーズにデザインできずに決定機が多く作れませんでした。

 しかし、この清水戦では三好康児と登里享平のフレティを右サイドに起用したことによって、その問題を解消しました。「左でゲーム作って、右から仕留める」ではなく、「右でゲームを作って、左から仕留める」と発想を逆にして、大外にエウソンならぬ、大外に阿部という形でチャンスを作ったともいえます。

 もちろん、三好が右サイドで輝けたのは理由があります。
それは単に三好だけの問題ではなく、ボールを持って仕掛けやすくするために、後ろにいたレフティ・登里が、気のきいた配球やポジション取りなどを行っていたとも言えます。今回のレビューでは、そのへんの狙いもじっくりと書いておきました。

では、今回のラインナップです。

1.ボールを持ち過ぎて停滞感を生んだエドゥアルド・ネットと、素早いタッチでテンポを加速させた森谷賢太郎。そしてサイドの嫌な場所を、的確に使い続けた中村憲剛。前半と後半の攻撃で生まれたテンポの違いとは?

2.「右でゲームを作って、左から仕留める」。狙い通りに機能した右サイドのレフティ起用と、「大外にアベ」による同点弾。「練習ではなかなかクロスを上げることはないが、自分は左でボールを持つので、右で切り返したときは顔が上げやすい」(三好康児)。「三好が見てくれていて、目があった。練習からあそこは見ておいてとは言っていた」(阿部浩之)。


3.「そこはポジショニングで相手と駆け引きはしていた。三好には前を向かせてあげたかったし、左足で持って仕掛けさせたかった」(登里享平)。右サイドの三好康児を後ろで支えていた、レフティ・登里による気の効いた配球とポジション取りとは?

4.ラストプレーで起きた水漏れを検証する。なぜ車屋紳太郎は、村田和哉にあれだけ食いついてしまったのか。「それで最後にスペースができてしまった」(車屋紳太郎)。

5.「もっともっと貪欲にならないと。サッカーはそんなに簡単じゃない」と語った奈良竜樹。結果はついてくるものではなく、自分たちで掴むもの。

以上5つのポイントで、冒頭部分も含めると全部で約8000文字です・・・・正直、書きすぎました・笑。でも、どこよりも読み応えはあると思いますから、よろしくどうぞ。

なおプレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第8節・清水エスパルス戦)

では、スタート!

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2017年シーズンのリーグ戦第1節〜第17節までのレビュー集です。ACLや天皇杯のレビューは含まれておりません。

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いしかわごう

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センス、良いっすね。
サッカーと将棋をコンテンツ化するフリーランスです。Number Webなどに寄稿。著書は「将棋でサッカーが面白くなる本」、「川崎フロンターレあるある1&2」など。「サッカー脳を育む」、「サッカー上達のためのマインドとメソッド」など中村憲剛の著書の構成も担当。