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「理想の形ではなかったけど、守備陣が我慢しながら、したたかに勝ち点3を拾えた」(田坂祐介)。分断されていた「自分たちの距離感」と、それでも勝つ粘り強さ。(リーグ2nd第16節・鹿島アントラーズ戦:1-0)

 鹿島アントラーズ戦は1-0で勝利。

 選手もみな認めている通り、決して褒められる内容ではありませんでした。ボールを握る展開に持ち込むはずがボールを取り上げられてしまう・・・さらに小林悠が負傷交代してしまうなど、思い通りにいかない試合展開でもありました。


「得点の場面は、自分たちの形。あれをもっと増やしたい。そのためには、距離感を掴まないといけない。システムは関係ないし、選手がやらないといけない」(中村憲剛)

「前半からウチの距離でサッカーができなかった。守備の時に形が崩れてしまったし、それはもったいなかった。守備の時に崩れ過ぎてしまったのは反省点です。ボールを奪った時にウチの距離感が遠かった。縦につけても孤立したし、後ろでつないで時間をかけてしまい、悪循環だった」
(谷口彰悟)

 試合後の選手たちは、「距離感」、「ウチの距離」というフレーズを口にしていました。それもそのはずで、風間フロンターレのサッカーは、ボールスピードが早く、独自のリズムでパスが回り、中にいる選手同士で共有されている「距離感」が重要な意味を持っています。「自分たちのの距離」でサッカーをやるのがカギです。

 この距離感って、一体何メートルなのかと聞かれても難しいところです。それは数値で決まっているものではなく、試合展開や相手の守備に応じて、臨機応変に伸びたり縮んだりしながら、選手たちが自分で間隔を作らなくてはならないモノだからです。この試合では「鹿島の距離感」で守備をされてしまい、「フロンターレの距離感」でボールを握れず、むしろ距離を分断されてしまいました。

 では、その原因は何だったのか。対処法はあったのか。今回のレビューはそこを中心に語っています。

 それと同時に、それでも勝ちに持っていった結果は評価すべきです。1stステージの負けなしの時期を思い出すような、粘り強さが戻ってきています。田坂祐介が振り返ります。

「相手はミドルシュートでのチャンスはあったけど、センタリングの対応はウチも良かったと思う。後ろは踏ん張って決定的なピンチを防いでいた。理想の形ではなかったけど、守備陣が我慢しながら、したたかに勝ち点3を拾えた」

 これまでの対戦相手の多くは、「フロンターレからいかにボールを取り上げるか」にフォーカスして対策を練ってきていました。そうすることで、勝てる可能性が上がるからです。しかし、フロンターレはここにきて「ボールを取り上げられても勝つ」というチームになってきています。

 「それでも勝ち切れた」と中村憲剛も言います。

「ここからは一戦一戦の戦いになるので、そのしぶとさを身につけられている。今は結果が大事だし、この1点を守り切ろうという連帯感があったと思う」

では、今回のラインナップです。(※10月31日に大久保嘉人と森本貴幸の談話を追加しました)

1.対4バックの試合で露呈している3バック問題とは?

2.「もっと厳しいところでもボールに顔を出して受けて、落として、動いて3人目という形をもっと多くできないと」(田坂祐介)。分断されていた「自分たちの距離感」。その原因と改善策は?

3.あらためて考える。試合前に大久保嘉人が口にしていた「中盤のチームになっている。FWが黒子に徹している」という言葉の意味。(※10月31日・大久保嘉人の談話追加)

4.得点シーン解説。「エウソンからのボールが絶対にこぼれてくると思っていた」(森本貴幸)。そして中、外、中の攻撃のリズムを生み出したプレーメーカー・大久保嘉人。(※10月31日・森本貴幸の談話追加)

5.「ウチにはすごいFWがいるので・・・・その人たちのおかげです」。2試合連続完封・新井章太が周囲に感謝するワケ。

以上、5つのポイントで約7000文字です。読み応えあると思いますので、よろしくお願いします。

なおプレビューはこちらです→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ2nd第16節・鹿島アントラーズ戦)

では、スタート!

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