「祭りのじかん」(スカパー! ブンデスリーガ ジャパンツアー2023:FCバイエルン・ミュンヘン戦:0-1)
親善試合のミックスゾーンは、ちょっと独特です。
勝敗に対する悲壮感や緊張感はなく、ワイワイガヤガヤと、どこかお祭りの後のような賑やかさがあります。
今回はバイエルン側とフロンターレ側のミックスゾーンが左右に分かれていました。海外メディアもたくさん来ていたので、バイエルンを取材するエリアも人で賑わっていました。ナポリから移籍したキム・ミンジェがバイエルンでのデビューを飾ったこともあり、韓国メディアも来ていたようだった。そうそう、赤いタイツ姿のYouTuberのコハロンもいましたね。
親善試合ということもあり、普段の公式戦よりも出場した選手の数が多いゲームでした。スタメン11人に加えて、ベンチが18人。前半と後半でメンバーを大幅に入れ替えてプレーしているので、川崎フロンターレは途中交代で出場した選手だけで13人もいる。
つまり合計24人が出場。その中で誰を取材して、コメントを取るべきか。
「聞きたい選手、全員に聞けばよろしかろう」と思うかもしれないけれど、時間差ではあるけれど、短時間の間に一斉にミックスゾーンで選手が出てくるので、自分なりに優先順位をつけておかないといけないわけです。あれもこれもと欲張っていると、他の選手を聞いている間に、本命を取り逃してしまうのだ。
自分の中では、やはりスタメンとして出場した選手に感じたものを聞きたいと思っていました。前半の決定機は少なかったけど、やはり感じたものもあったと思うからです。
早めに出てきたのが小林悠でした。
最初にテレビ取材を終えて、ペンエリアのミックスゾーンを歩いてきたので、声をかけて呼び止めると立ち止まってくれた。他の記者もわっと駆け寄ってくる。知名度の高い小林悠なので、みんな彼の声を聞きたいのだ。
最初は捻った質問ではなく、素直に試合の感想を聞いた。「45分の出場でしたが、どうでした?」と。過去にドルトムント、チェルシー、パリ・サンジェルマンとの試合に出ているベテランは笑顔を浮かべて答えてくれた。
「きつかったです。でも楽しかったです」
楽しかったという思いは、その表情からうかがえました。
では、「きつかった」というのはどういう意味なのか。
前線の選手たちは、前がかりに奪いに行ったものの、狙い通りにはボールを奪えませんでした。そこの「きつさ」なのだろうか。それを尋ねると、自分が復帰戦となったことでのコンディションの話だと、笑顔まじりで明かしてくれました。
「コンディションのところで試合が本当に久しぶりだったので(笑)。もうちょっといい状態でやれたらもっと楽しかったかなと思いますけど。でも45分、怪我なく終えられたのはすごく良かったと思いますし、楽しかったですね」
試合を通じて、どう感じたのだろうか。
立ち上がりこそハイプレスからうまくチャンスを作ったものの、試合が進むについて、バイエルンの面々は意識的に対応を変えてきたようにも見えた。言い換えると、ちょっとギアを入れてきたように感じたのだ。
「10分ぐらいから相手は本気を出してきた感じですか?」と尋ねると、なかなか守備がはまらなくなったことを話してくれた。
「前からのプレッシャーに相手が慣れてきて、ビルドアップでうまく剥がされるようになって(プレスに)行きにくくなりましたね。良い守備ができている時は攻撃ができていたんですけど、相手が対応してきて難しくなりました」
要は、勝負はそこからの時間帯だった、ということでしょう。
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