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「それでも真ん中から行こうと話していた」(中村憲剛)、「中から、しつこくいきました」(谷口彰悟)。中央からの攻撃を徹底し続けた理由とは?そして面白いほど機能した、攻撃的な3バック。/ リーグ2nd第11節・アビスパ福岡戦:3-1

 等々力競技場でのアビスパ福岡戦は3-1で勝利。

年間首位と年間最下位の対戦であることを考えれば妥当なスコアかもしれませんが、実は今季の公式戦では2戦して1分1敗と勝っていない相手でもありました。

 そういう「ちょっと嫌な相手」に油断することなく3ゴールで完勝。1stステージでは湘南や福岡といった下位相手に勝ち切れませんでしたが、2ndステージではそういった下位相手にしっかりと勝ち点3を積み上げています。連敗をせず、取りこぼしもなくなったのは、チームが前進している証拠なのだと思います。

 この試合の得点者は、谷口彰悟、中村憲剛、そして大久保嘉人でした。

 特に谷口彰悟は、嬉しい今季初ゴールとなりました。
 
 試合前日のセットプレー練習で、ゴールの匂いを一番感じさせていたのが谷口彰悟でした。キッカーの中村憲剛のボールに、良いタイミングでゴール前に入って合わせていく場面があり、ゴールの予感がプンプンだったんです。

 面白いのが、エドゥアルドがスタメンに復帰したことと無関係ではないことです。エアバトルに強いエドゥアルドはセットプレーではターゲットになれますし、彼がいることで相手守備陣の注意を引きつける存在にもなってくれるんですね。それで生きてくるのが谷口彰悟なんです。

 前日練習後、セットプレーのときにはエドゥアルドがいる影響を率直に聞くと、彼に素直に笑ってました。

「それはありますね。個人的には、『(エドゥが相手を)つってくれ!』と思ってます(笑)。あと点は取りたいですね」

 そして試合では見事に頭で流し込みました。得点を決める前にも1度ドンピシャのヘディングがあったのですが、これはGKの正面に。二回目のCKでも中村憲剛が谷口の頭を狙うと、ニアでそらしたボールが綺麗にファーサイドへ吸い込まれました。

「最初のチャンスで決めたかったですね。でももう一回信じて飛び込んだら、うまく流し込めました。これまで良いボールがきても点が取れなかったので、入ってよかった。やっと決めることができました。セットプレーで1点取れたことで気持ちも楽になったし、そういうスイッチを入れることができたと思います」(谷口彰悟)

 この試合の谷口彰悟は守備でも素晴らしかったのですが、それは本編で・・・。

では、今回のレビューです。ラインナップではこちらです。

1.中村憲剛が前半から狙っていた「ダニルソンの背中」とは?

2.福岡の打開策を巧みに封じ続けた左CB・谷口彰悟の機能性。

3.田坂祐介のセンターバック起用から読み取る、風間監督がコンバートするときの2つの狙い。

4.「それでも真ん中から行こうと話していた」(中村憲剛)、「中から、しつこくいきました」(谷口彰悟)。なぜ、中央からの攻めにこだわったのか。

5.「今日はなかなかサイドまでボールが出てこなかった」(車屋紳太郎)。福岡戦で「戦術車屋」が鳴りを潜めた理由とは?

以上、5つのポイントで約7000文字のボリュームでお伝えてしています。この試合は、攻撃の場面ではチームの狙いがよく表現されてましたし、田坂祐介のセンターバック起用では風間監督の哲学がより反映されていました。

 そういったピッチにあちこちに散らばっていたメッセージを読み取る上では、とても明快な試合だったと思っています。そういった部分に興味ある方は、読んでもらえると幸いです。

なおプレビューはこちらです。→試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ2nd第11節・アビスパ福岡戦)

では、レビューのスタートです!

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