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「それでも続いていくのだから」 (リーグ第21節・サンフレッチェ広島戦:1-1)

 手応えを語るにふさわしい結果がついてきていないからだろう。

ピッチでは際立ったパフォーマンスを見せ続けた瀬古樹だが、試合後のミックスゾーンでコメントする表情は厳しかった。

「この3連戦は勝ち切らないといけないゲームでした。前半は集中力もあったし、自分たちのやりたいこともできていた。ただ3連戦とも後半で失点してしまっている。そこは課題として取り組んでいかないといけないと思います」

 22分に生まれた、マルシーニョの先制点。あれは瀬古樹の振り抜いた左足によって呼び込んだといっても過言ではなかった。

 脇坂泰斗からの落としをゴール前でトラップした彼は、ペナルティエリアの状況を確認しながら、ゴール前のクロスを選択するような動作を見せている。しかし次の瞬間、それをキャンセルし、ドリブルで持ち運ぶ選択に切り替えている。

 そこから踏み込んで左足で放ったシュートは東俊希に当たって角度が変わった。逆を突かれたGK大迫敬介が反応するがキャッチできず。こぼれ球に走り込んだマルシーニョがクリアしようとした塩谷司よりも一歩先に触ってゴールネットを揺らした。

 あれはフェイントだったのか。それとも判断を変えたのか。このゴールシーンに関する、自身の一連の判断の変化を尋ねてみた。厳しい表情は変わらないが、少しだけ滑らかな口調で明かしてくれた。

「自分の前が空いていたので、早めにボールを入れようかなと思いました。ただ相手のプレッシャーがなかったので持ち運んでどう来るかを見ようかなと思ってたら、来なかったので打ちました」

 リーグ戦3試合連続先制点。直近11試合まで遡ると、11試合中で第18節のヴィッセル神戸戦を除いた10試合で先制点を奪っているという驚きの先制力だ。にもかかわらず、このアドバンテージを活かせなかった。

 こういう「市制100周年記念試合」といったメモリアルゲームは必ずといっていいほど勝ってきただけに、勝ち切れなかったことは、ただただ悔やまれる。しかし、しっかりと原因を精査する作業が必要だと思った。

※7月2日は麻生グラウンドで公開練習がありました。練習後、選手に話を聞きました。週末のジュビロ磐田戦に向けた話を聞きつつ、広島戦の振り返りもしてもらっています。練習前のミーティングでどういう部分をフォーカスしたのか。チームで向き合うべき課題と共有したので、そこを追記で深掘りしております。ぜひどうぞ。

■(※追記:7月2日)「(後ろを)3枚にして、ハメどころがない状態で相手に持たれてしまい、失点してしまった。そこでどう守るのか」(大南拓磨)。逃げ切るための3バックで投入された大南拓磨が感じた難しさとは?そしてオフ明けのミーティングでチームが共有した、深かったライン設定の話。

※7月3日、パリ五輪に挑むサッカー男子日本代表メンバーに高井幸大が選出されました。発表の日、彼はクラブハウスに残っていたチームメートと共に、14時からの配信を見守っていたそうです。そして無事に選出となりました。その後、集まっていた報道陣の囲み取材に応じました。そこで高井幸大らしく、マイペースに語ってくれたことについて紹介したいと思います。

・・・あとは、なんでしょうか。きっと彼のような存在が日本サッカーの歴史を変えたり、新しい扉を開くのではないだろうか、という期待も感じましたね。約2000文字の追記です。

■(※追記その2:7月3日)「嬉しかったです」。パリ五輪に挑むU-23日本代表に選出された高井幸大が囲み取材で語ったこと。そしてマイペース過ぎる彼に、僕が尋ねた二つのこと。


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