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「この苦しみを強さに」 (リーグ第8節・セレッソ大阪戦:0-1)

ヨドコウ桜スタジアムでのセレッソ大阪戦は0-1で敗戦。

0-1(セレッソ大阪戦)

0-1(町田ゼルビア戦)

0-0(横浜F・マリノス戦)

3-0(FC東京戦)

 中断明けとなった直近4試合のスコアだ。開幕直後に比べると、4失点や5失点をするゲームはなくなった。4シーズンに渡って採用していた4-3-3システムから4-2-3-1システムに変更し、中盤をダブルボランチに。そして選手たちが粘り強く守れていることには一定の成果が出ている。

 ただ今度はゴールが奪えなくなった。チームの重心が後ろにあるからなのか、奪ってからの攻撃に厚みのある攻撃を繰り出せていない。エリソン、マルシーニョ、家長昭博、脇坂泰斗の前線4枚がそれぞれ孤立気味で、カウンターを繰り出しても効果的な攻めにはつながっていないのが現状だ。

 鬼木監督は遠野大弥、山田新、小林悠、さらにはパトリッキと、前線を入れ替えた交代策で打開を試みたが、ゴールネットは揺らせなかった。そしてチームは敗れた。

 試合後、ミックスゾーンを通る選手たちの表情も芳しくない。
負けた後なのだから当然なのだが、それを差し引いても、憔悴しているのは気になる。約20分ほどピッチに立ったが、自身がシュートゼロに終わった小林悠が厳しい表情で振り返る。

「勝てていないからなのか、自信がないプレーが続いていると思う。内容がそのまま結果になっている。内容が悪くても勝てればよかったけど、先に得点を決められず、失点して内容どおりのゲームをしてしまっている」

 何人かの選手に話を聞いたが、選手それぞれが結果を重く受け止めているのを感じた。負けたことや個々で反省はしなくてはいけないが、敗因の矢印を必要以上に自分に向き過ぎているのも決して良いとも思わない。サッカーはチームスポーツなのだから、負けた時はチームで共有すれば良い。だけど、個人が必要以上に深刻に受け止めている空気が少し漂っている。

 取材を終えた後、長居駅から新大阪駅に向かって、そのまま帰りの新幹線に飛び乗った。取材で感じた空気感にどこかモヤモヤしたまま深夜に帰宅し、翌日、代々木第二体育館でBリーグのアルバルク東京対茨城ロボッツを取材した。

 2位のアルバルクが残留争いをしている茨城ロボッツに79-67で勝利。これでリーグ4連勝だ。すでにチャンピオンシップ進出は決まっているが、このまま勝ち続けていくと、逆転で東地区優勝の可能性も出てきた。

 一方、残留争いをしている茨城ロボッツは厳しい状況だ。

残留争いのライバルも負けたため差は開いていないが、崖っぷちが続いていることには変わりない。

 Bリーグの場合、試合後の選手取材は囲みだったり会見方式だったりとまちまちだが、この日は会見方式だった。

 茨城ロボッツで対応したのは、キャプテンの平尾充庸。

小林悠と同世代の35歳。2017年からクラブにいるベテランポイントガードだ。残留争いにいる中、彼はチームの雰囲気をこう口にしていた。

「雰囲気自体は悪くはないのかなと思っています。残りの試合数だったり、対戦カードであったりというところを考えると、ウチとしては気が抜けないし、ピリピリしてくる終盤戦になってくるのかなと思うんですけど、自分たちが変な集中の仕方をしても、いいバスケットはできないと思っているので。その辺はキャプテンとして、またガードとして、チームをいい緊張感の中でバスケットができるように持っていければなという風に思います」

 口調がハキハキしており、そこに悲壮感は感じられない。特に「変な集中の仕方をしてもいいバスケットはできない」と言い切るところには、ベテランゆえの経験値を感じさせる言い回しだった。ちなみに「変な集中の仕方」とはどういうことだろうか。平尾は言う。

「やらなきゃ、やらなきゃじゃないですけど・・・勝たなきゃ、勝たなきゃとなったらまた個々で戦ってロボッツらしくないバスケットになっちゃうのかな、と思うので。悪い方向に行かないように、いい形でバスケットができるようにやらなきゃな、というふうに思います」

 あまりに個人が自分の矢印を向けすぎると、個々で戦ってしまうようになる・・・それでは、チームでのバスケットが出来なくなる。

 なんだか前日の川崎フロンターレにも当てはまるような言葉で、こちらに少し考えさせられるものだった。まさか前日のサッカーの取材現場で出くわした違和感に対する回答のヒントらしきものを、バスケットの取材現場でもらえるとは思わなかったけど。

 では、ここからがレビューの本題。試合をしっかりと振り返っていこうと思います。ラインナップはこちらです。

※オフ明けの4月16日の練習取材をレビューに追記しました。選手たちは敗戦から気持ちをどう切り替えて、改善策に取り組んでいるのか。これまでの敗戦後のオフ明けとは違う光景がありました。約2500文字のコラムです。

■(※追記)「気持ちの切り替えができているからこその行動だと思います」(脇坂泰斗)、「一人一人がもっと良くしようっていう思いがあるのかなって思います」(佐々木旭)。声の飛び交う活気あるトレーニングと、選手間での積極的な意見交換。オフ明けの麻生で見た光景で思うこと。

※17日に追記その2です。先週からは別メニューで部分合流し、オフ明けのトレーニングから完全合流したファンウェルメスケルケン際に関してです。しっかりと気持ちを切り替えてトレーニングに励んでいるようで、現在の状態やチームのことも含めてコメントしてくれました。

■(※追記その2:4月17日)「最終的にどこに出ても、みんながやることは変わらないと思いますし、右も左も固執せずにやっていければと思います」。完全合流を果たしたファンウェルメスケルケン際に訊いた、現在の状態とチームのこと、そして4-2-3-1システムの影響。


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