対人恐怖症が、大切な命を奪う
対人恐怖症は、よく知られている
日本人に多いと言われる神経症です。
他人からの評価が病的に気になる、
他人に嫌われることを異常に怖れる、
などの心理状態で、社交的な場面が怖い、
逆に、
人前で無理に明るく振舞って疲れ果てる、
などの
とても「生きづらい」人になります。
以下のエピソードをお読みください。
小学3年生の息子を持つ母親の話です。
「このあいだ、恐ろしい出来事がありました。
息子の友だち数人とそのママたちと
たまたま一緒にファミレスに入る機会があったんです。
子ども7人親6人で、けっこうな大人数でテーブルを囲みました。
実は、あまり親しくないママたちのグループで、対人恐怖症の私は、ちょっと緊張していました。
そこで、事件が起きました。
私の息子が、隣にいた子に「椅子引き」のイタズラをやられたんです。
椅子引きイタズラとは(リンクあり
)https://brandnew-s.com/2017/06/05/kurumaisu2/
ドスン!という音がして、隣を見たら、息子が尻もちをついていました。
その場にいたお母さんたちは、「あはは〜」と笑っていました。
それで私はてっきり、息子が自分で勝手に転んで、尻もちをついたんだと思ったんです。
ところが、
息子のすぐ横にいたお友だちが
「あー、ごめんごめん、ついやりたくなっちゃったんだよね!あはは〜」
と言ったので、事態を理解しました。
椅子を引かれたんだ、と。
息子は一瞬、声が出せずに尻もちをついたままになっていて
5秒くらい経ってから
「いってぇ…」
と言ってゆっくり立ち上がり、椅子に座り直しました。
私以外のお母さんたちは皆、ニコニコ笑い続けていて、
私は、軽くパニックになりました。
いつも、人に合わせてばかりいる私は
これは、他のお母さんたちと一緒に笑うところなのか?
息子が心配で、大丈夫?どこが痛い?
と声をかけたい、
そして、イタズラした子に
「危ないことはやめて!」と怒りたいけど
そんなのは、おかしいのかな???
と、判断がつかなくなってしまったんです。
息子の命に関わる事をされたのに、
息子が痛みに耐えているのに、
私は、周りのお母さんたちの顔色を伺っていたんです!
家に帰って夕方になってから
なぜか息子が、
「頭痛がする」と言って横になりました。
夕飯も、食欲が無いと言って、少ししか
食べませんでした。
もしかして、あのイタズラで思い切り尻もちを
ついたせいで、
やっぱり何か身体に危害があったの
かも⁉︎と、
ものすごく心配になり、病院へ
連れていきました。
結果的には、幸いにして大事には
至らなくてよかったのですが
後になって、本当に自分がバカだと、腹が立って涙が出ました。
椅子を引くイタズラなんて、
命に関わる危険なイタズラで、絶対にやってはいけないし、
その場でやった子を叱りつけるべきでした。
そして、大丈夫⁉︎背中は⁉︎腰は⁉︎と
すぐ自分の息子を真剣に心配するべきだった。
だいたい、なんで痛い思いをしただけの子どもを見て、笑う大人たちがいるのか。
自分の子どもが同じ目に遭っても
同じように笑うのでしょうか?
お笑い芸人じゃあるまいし、
転ばされて痛い思いをして笑われて?
これはイジメだったんでしょうか?
自分の子どもの心配より、
いつものクセで
ママたちの反応を気にしてしまった自分が
本当に情けなくて、
息子に申し訳なくて、
もう絶対に、対人恐怖を治さなきゃ!!!
って思ったんです。
治さないと、
私の対人恐怖で、子どもが死ぬかもしれない!
って冗談ぬきに思いました。」
私も似た経験があります。
私の父が21年前に頸部がんで亡くなる前
病院選びで、母と大喧嘩になったんです。
私は、その時父が入院していた病院のやり方に不満で、
転院先を探そう、と母に言いました。
すると母は
「そんなこと、出来るわけない!
今の主治医の〇〇先生に、そんな失礼なこと言えるわけがないでしょ!」
と怒りました。
大切な人の命がかかっている時に
「失礼」とか、関係あるのか?
と私は納得出来ませんでしたが
私は娘で、父の治療の決定権は母のほうにあるのかなぁ、と思って
その場は母に譲ってしまいました。
(ちなみに父本人はその時、判断能力が無い状態でした)
母の「お医者様に失礼」
という対人恐怖症もすごくマヌケで腹が立つし、
私自身の「決定権は母」という
今考えるとわけのわかんない責任放棄も大間違いでした。
大切な人の命を守れるかどうか、という時に
誰々に失礼、とか
決定権は誰なのかとか
ママ友に嫌われないかとか…
もう、マヌケすぎて最悪です。
死にますよ、人目を気にしてる間に
大切な人が。
上記の「ママ友たち」の件は
想像するに、その場の全てのママたちが心から
笑ったわけじゃないんだろうな、と
思うのです。
たぶんみんな、「対人恐怖」。
誰かひとりがたまたま笑って、
深く考えもせずに
「あ、ここは笑うところかな?」と
合わせて笑ってしまう。
周囲に合わせとけば楽だから。
「他のママたち」と衝突しないことだけが
大事だから。
そうやって、笑いが広がったんじゃないでしょうか。
頭悪いですけどね。
他人のご機嫌なんて、気にしないこと。
世間体なんて、気にしないこと。
自分にとって誰が大切なのか、
よく考えること。
失ってから、後悔しないように。
他人の顔色をうかがってばかりいる対人恐怖は、大切な人の命さえ奪う
重大な病です。
本気でそう思うのです。
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