第53回 地域活性化は多様性が前提条件

[2016年3月5日]

仕事柄、いろいろな方から「地域活性化の条件は何か?」と聞かれます。

なかなかの難問ですが私は「多様性の存在」と答えています。

地域が活性化するには、住んでいる人の多様性(年齢、職業、家族構成がさまざま)、街の景観の多様性(建物の新旧、路地と大通り、戸建てと集合住宅、繁華街と田畑)、移動手段の多様性(徒歩、自転車、電車、車)といった、3つの多様性が存在するかが非常に大きいと確信をしています。実際、元気な街には必ず多様性があります。

 これは今更私が確信するまでもなく、1961年にジェインジェイコブズという方が都市計画の観点から著書で類似の観点を論じている事でもあります。間違いのない、地域活性化の為の前提条件です。

 ですが、残念ながら日本の再開発計画や大規模住宅開発、大店舗開発などはこの地域活性化の為の前提条件に合致しないケースが沢山あります。大抵の場合、古いものはすべて壊して建て替えて、画一的な町並み、無機質な建物に作り替えています。同じような世帯が入居するような住宅街をつくり、商店街をつぶして大規模商業施設に集約し、多様性を減らし単一的になっていく流れが主流です。残念ながらそういった街は、どんなにかっこよく開発されても、数年後には無機質で殺風景な街になってしまいがちです。

 ではなぜこのような開発が進んでしまうのか?これはビジネスとして短期的に収益が上がるからです。資本主義の中で収益が上がる事業が成長するのはは当然です。長期的にはもちろん、短期的にも地域が活性化した方がいいはずなのですが、残念ながらビジネスとしてはまだ確立しておりません。それが故、短期的に収益が上がる開発手法に偏ってしまいます。これは法律や規制で解決すればいい問題でもないと思っております。まいぷれは地域活性化をビジネスモデルとして取り組むことをテーマにしています。関係してくる部分も金融から土木建築、福祉、産業、労働問題と多岐にわたり難易度も相当高いと思っておりますが、新しい切り口での地域モデルを作り上げていく事に挑戦してまいりたいと思います。

(株)フューチャーリンクネットワーク

代表取締役 石井 丈晴

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