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スピークイージー

明日からの、時短要請期間の営業時間はどうする予定なの?とママに聞いたら、
20時ラストオーダー、21時閉店じゃ店開けてもどうせ赤字だし、それならいっそのこと連休明けまで休業するつもりなんだけど、とのこと。


まあそれは残念ではあるのだけれど、
おそらくここのマスターの性格だとそうするだろうなあ、と半ば予想していたので特に驚きはなく。

開けてたら開けてたで、一見さんが集まってくるのもねえ・・・、というママの感覚は徳島独特のものか。

常連でも一見客でも、感染防止という観点ではあまり変わらない気もするけれど、悪いものは全て余所から来たもの、という意識は、阿波国からの歴史的な背景がこの土地の人々の意識に多分に影響を与えてるのでは、と、吉川英治『鳴門秘帖』など読んでると思うところあり。


休みの間はさ、毎日釣りに行くから、いいのが釣れたら電話するからおいでよ、とマスター。
でも店は開けないんでしょ?と聞くと、まあ、裏口から入ってもらうから、とニヤリ。
もちろんお代は頂かないよ、営業になっちゃうからね。

そんな禁酒法時代の闇酒場か、ドイツ占領時代のフランスでのレジスタンスのアジトのような呑み方をすることになるとはね。

路地の暗がりの中、表の入り口を閉めた酒場の裏口を、合言葉とか言って入れてもらうとか、まるで映画のようで妙なスリルがありますねえ。


まあ、ちょうど新しい芋焼酎のボトルを最近入れたばかりだし、それでコソコソ人目を避けて呑むのもまた一興。

こんな時代もあったよねと後に面白おかしく思い出話をするのも乙なものかもしれませんね。




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