ヤングライオン
カウンターに隣り合わせた若いマツエク美女に、それ、新日のパーカーですよね、プロレスお好きなんですか?と聞いてみたら
「コレ、プロレスなんですか?しまむらで買ったんです。タイガー柄がカッコよかったんで」
いや、ソレ、ライオンですよ?と思ったけど黙っていた。
今流行りのプ女子ってやつかと思ったけど違うのね。
新日といえば、藤原喜明と前田日明の対談を見たことがありまして、藤原組長が、前田が新日に入団したばかりの頃のエピソードを話していてものすごく面白かった。
当時、相当背は高かったけれどまだ痩せてひょろっとした感じの若者だった前田が、練習中の組長に
「藤原さん、自分とスパーリングやってもらえませんか」
と、話しかけると、藤原はめんどくさそうに彼を「シッシ」と追い払ったんだと。
その様子を見ていた、新日本プロレス総帥アントニオ猪木が気の毒に思ったのか
「オイ、前田、俺が相手してやるからリングに上がってこい」
と声をかけてきて。
喜んで猪木の前に立った若き新人前田が
「猪木サン、スンマセン、自分、スパーリングやったことないんで、寝技とかどうやればいいのかわからないっス」
みたいなこと言ったところ、
猪木は
「かまわないからなんでもやってきていいよ」
と、余裕の大物ぶりを見せたので、まあ、当時血気盛んな若者であった前田は、自分も新人とは言え空手は無想館拳心道の二段、ナメられないようにいっちょやってみっか、といきなり猪木に金的と目つぶし仕掛けたんだって(笑)
これが見事に入ってしまって、(実際には金的はブロックされたが目潰しは右目を掠めたという)リングの周りで見ていた木村健悟ら若手レスラーが血相を変えてなだれ込み、神様である猪木にとんでもない真似をした生意気な新人をよってたかってボコボコにしたという。
倍くらいに腫れ上がった顔を控室の水道で冷やしていると、ニヤニヤした藤原がスイッと近づいてきて
「オマエなかなかいい根性してるな。明日から俺とスパーリングやろう」
と、声をかけてきたんだって。
葉巻をくゆらせながらにこやかに(ふたりとも滑舌悪すぎて何を喋ってるのかわからない部分もあるのだけれど)当時の思い出を懐かしそうに話す二人。
彼らの関係が始まったこの出来事が、その後日本の格闘技界に、U系やその他たくさんの総合格闘技というジャンルが誕生する、いわば歴史的瞬間だったとも言えるわけでね。
ワタシはこのエピソード、ものすごく大好きなんです。
そんな話を、プ女子ならしようかと思ってたけど、やめておいてよかった。
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