[Director's Note]Prometheus experiment
Prometheus experiment [inspired by "Prometheus Bound" ]
演出ノート:信仰心について
「未来」への関心というのは、人類が文明を手に入れてから抱き続けている大きな欲望の一つである。つまり「今」ではない「先」、明日、一年後、10年後、100年後……、自分が死んだらどうなるのだろうか、魂は何処へ行くのか、天国はあるのか?そして多くの文化(宗教や儀式、または研究)は、この欲望を満たす為に作られたといっても過言ではないのではないか。
アイスキュロスの「縛られたプロメテウス」は、全能の神であるゼウスが唯一知る事の出来ない「自分の未来」を知る為に、「先を知る者」であるプロメテウスに重い責め苦を課す物語である。ゼウスはプロメテウスの力を信じればこそ、彼を執拗に責めさいなむ。自分の未来を教えろ、と。
そして、このゼウスの欲望と同質の欲望は現代の我々の中にも棲みついている。
この演劇は、「プロメテウスを信仰する集団」と彼らに掴まえられた「彼とされる者」との関係の一面のみをスケッチすることにより、現代において「信仰心」を持つ者達が孕む可能性のあるエゴイズムを描いている。
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