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初めて「哲学カフェ」に参加した日の驚きと高揚感を、今も覚えている

僕らの世界を作りかえる哲学の授業』(略称「ぼくてつ」)にかんする、こんな感想ツイートを拝見しました。

1週間ほど前のツイートですが(ときどき書名でキーワード検索してるので、わりとすぐ気づいてRTしましたが)、なぜか今日(8/30)になってプチバズってる様子。

このツイートへの反応を見ていると、哲学カフェ(やそれにかぎらず、交流会やオフ会など、初対面の人たちが多く集まるような場)で「自己紹介しない」ことを肯定する意見が多数あり、私自身も、それに強く共感します。自分の名前や属性を明かさずに対話できる場って、なかなかないですよね。

私が初めて「哲学カフェ」というものに参加したのは、2017年3月のこと。まったくの初心者として、休日午後に、ひとりで、ふらりと、ちょっと緊張ぎみに参加しました。そのとき感じた、「え、自己紹介とかしないのー!?」という驚きや、「初対面の人しかいない空間で、輪になって、いきなり2時間みっちり対話」という高揚感は、今でもありありと覚えています。

当時の感想を、「ぼくてつ」著者の土屋陽介先生に宛てたメールとして残していたので、ここにアップしてみます(いまあらためて文字化してみてもいいのだけど、どうしても「過去のことを思い出す」作業になってしまうので、現在形の、なう!の感動が残ってるメールを載せることにしました。土屋先生の許可は得ています)
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Sent: Wednesday, May 31, 2017 7:21 PM
Subject: 「さろん哲学」さんに参加してきました

土屋陽介先生

たいへんご無沙汰しております。青春出版社の石井です。
今年もまた梅雨の走りですね。明日から6月とは、あっという間でびっくりします…。新学期が始まって2か月が経ちましたが、その後、いかがでしょうか。

土屋先生がオススメしてくださった「さろん哲学」さんですが、
感想をお伝えするのがものすごく遅くなってしまい恐縮なのですが、3月に参加した会がすごく楽しくて、じつはその後3回もおじゃまさせていただきました。

初参加時のお題が「なぜかわいいのか」で、日頃よく考えていたテーマだったのですが、まったく予想もしてなかった見方、考え方に触れられて、ほんとうに世界が広がった感覚がありました。

発言者がひととおり話し終わるまで口を挟まない。
質問や反論はしてもいいけど、相手の考えを否定しない。
答えが出なくても、2時間でスパッと終わる。
…といったスタンスも、とても心地よいものでした。

あと、お互いにいっさい自己紹介もせず始まり、司会者(堀越さん)が発言者を指すときも「そちらの、青いシャツの方」といったように名前で呼ばないというのが新鮮で、ちょっと愉快でもありました。すごく温かい雰囲気の会ですね。

それですっかりハマってしまい、2回目は「習慣」、3回目は「不倫は許されないのか」というお題でした。
これまた、普段は考えたこともないような角度から見てる方の意見、考え方を知ることができて、毎回「ひと皮むけた自分」になれたかのような気分になれてすごく面白いです。

ほかの哲学カフェにも参加されている方のお声を聞いたのですが、「ほかはもっと険しい雰囲気で、口論になったり、殴り合いまであったりするけど、さろんさんは穏やかで心地いい」とおっしゃっていて、逆にほかのカフェにも興味がわいてしまいました。

新書企画の件、もし新しい環境的に大丈夫そうであればですが、土屋先生が落ち着かれた頃にあらためてご相談できればうれしいなと思っております。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

石井

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どうでしょう。「哲学カフェ」初体験時の驚きと、高揚感が、伝わってきませんか…!?

いまの私が、当時の自分のことを思い出して書こうとしたら、こういう文面は書けない気がします。とってつけたような、ちょっと盛ったような、飾ったような文章になるんじゃないかなあ、と。

このメールに綴られているように、

◎ほんとうに世界が広がった感覚
◎とても心地よい
◎毎回「ひと皮むけた自分」になれたかのような気分
◎すごく面白い

そういう魅力を、私は「哲学カフェ」というものに感じています。

ちなみに<その①>、土屋先生がオススメしてくれた哲学カフェ「さろん」さんには、その後も常連のように通わせてもらってます。
ほかにも参加したことがあるのは(参加順に→)「東京大学UTCP」「Ante-table」「人生カフェ」「わわわの話」「学習院大学フィロラボ」など。ほかにも気になっている哲学カフェはものすごくたくさんあるので、これからもいろいろ開拓してみたいと思っています!

ちなみに<その②>、メールの最後にある「新書企画」というのが、このたび、今年7月に発売された『僕らの世界を作りかえる哲学の授業』です。土屋先生のもとへ初めて打診に伺ったのが、2016年12月のこと。それから約2年半かけて、ようやく本になりました。
「哲学対話」の理論から実践まで、全体像がわかる入門書! ということで、編集者としてはもちろん、ひとりの哲学カフェ参加者としても、いろんな人にオススメしたい一冊です。

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