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リスボン郊外の穴場観光地、マフラ宮殿 【ポルトガル旅行 振り返り編7】

ポルトガルのリスボンからコインブラを経由して、ポルトへ至る今回の旅。
到着早々、リスボン郊外に位置する
Mafra(マフラ)という町に行ってみた。

マフラには2019年に世界遺産登録された「マフラの王家の建物」がある。
同じリスボン郊外にある世界遺産「シントラの文化的景観」に比べると、
マイナー感は否めず、旅行記を残しているサイトも多くはない。
それでも先人たちの情報を総動員すれば、
英語もコミュ力もない私でも、
なんとか自力で行けそうな気がした。

ルートは比較的シンプル。まずは地下鉄に乗って
Campo Grande(カンポ・グランデ)駅で下車。
郊外行きのバスターミナルがあるので、
そこからEriceira(エリセイラ)行きのバスに乗り、王宮で降りる。
マフラが終点ではないので、乗り過ごさないよう注意したい。

王宮は広く、観光客が適度に分散しているので、ストレスのない見学ができた

カンポ・グランデの駅に着き、
バスっぽいピクトグラムを目印に歩くと、
上手い具合にバスターミナルっぽい場所に出た。
すでに2台のバスが止まっていて、
一方には乗車を待つ人の列が伸びていた。

自分が乗るべきバスがどれなのか分からなかったので、
とりあえず停車中のバスの前方に回り込み、行き先表示を確認。
たまたま2台とも「エリセイラ」の文字が確認できたが、
微妙に表記が違う。何が違うのか分からなかったが、
とりあえず列が出来ている方に並んだ。
乗車券は運転手から購入できるらしいので、
私が目指す王宮に行くかどうかは、その時に確認すればいいと思ったのだ。
急ぐ旅でもないので、少々列を間違えても、どうと言うことはない。

やがて列が進み始めた。
皆、交通カードのようなものをタッチして
すいすいと乗り込んでいく。
私の番が来た。
「マフラパレスに行きたい」。
ドライバーに告げると、その場で清算してくれた。
4.5ユーロ、現金のみ。クレカ不可。

バスは大型で50人乗り。
本当はドライバーに近い前の方に座りたかったが、
既に埋まっていたので、一番後ろの席に納まる。
着席と同時にバスが発車する。
グーグルマップによると3駅乗車らしい。

マフラ経由、エリセイラ行きのバス

バスは高速に乗り、快調に進んでいく。
どこを走っているのか分からないが、青空も見えてきた。
朝は雨が降っていたのだ。

元々この日は、ポルトガル(リスボン)到着初日に当たり、
まずは私が最もポルトガルを感じるテージョ川にあいさつをしてから
リスボン市内を観光しようと思っていた。
しかし事前の予報で雨模様と知り、
ならば宮殿見学にすれば室内ばかりで
雨の影響は受けにくいだろうと、予定を入れ替えた。

こういう融通が利くところが一人旅のメリットの一つだ。
ツアーなら雨が降ろうが風が吹こうが、ルートは変えられない。
ツアーコンダクターが気を利かせて
順番を入れ替えることなどありえない。
悪天候も思い出の一つにするしかないのだ。

マフラ宮殿の教会

バスが高速を降りると、しばらくして誰かがストップボタンを押した。
順調に目的地行きのバスに乗車できたことですっかり安心していたが、
そう、私は途中下車をしなければならないのだ。
ストップボタンの存在すら気に留めていなかった。
むしろ、利用客の有無にかかわらず全停留所に停まってくれるのかな、
くらいに考えていたが、どうやらそうではないらしい。

バス停は巨大な宮殿前なのですぐに分かる、
と何かのサイトに書かれていたが、果たしてその通りなのか。
最後尾の席は少し視界が高くなっていて、
窓枠が邪魔をして外の景色が見えにくかった。
しかも車内前方の電光掲示板には、
気温と時刻が交互に表示されるだけで、肝心の停留所が示されない。
仕方がないので、全神経を集中させて
車窓からの風景と手元のグーグルマップを交互に見る。

ドーム型の屋根がちらりと見えた。
私が降りる停留所が近いのかもしれない。
「マフラ」という言葉が聞こえた(ような気がした)。
窓の外の風景は、想像していた「宮殿前」とは
ちょっと違う雰囲気だったが、
誰かがストップボタンを押して下車しようとしていたので、
もしかしてここなのかも? と慌てて最後列から移動。
ドライバーさんに尋ねると、
ここでもいいが、次のバス停の方がベターとのこと。

1~2分ほどすると、確かにバスは王宮のすぐ脇に停車した。
もっと大勢の人が降りるものと勝手に想像していたのだが、
私と一緒に下車した人はわずかだった。

蔵書約3万冊。本を食べる虫を駆除するために3種類のコウモリが飼われているのだとか

特別な興味がない限り、私のように
バスに乗ってマフラを目指す観光客はまだ少ないのだろうか。

王宮前は、世界遺産とはいえ人があふれかえっているわけではなく、
むしろ人影まばら、といった表現がぴったりだった。
けれど、こののんびりとした田舎町の風景は、
ポルトガルに着いたばかりで
ガッチガチに緊張していた私を安心させた。

宮殿はとにかく広く、王家の貫禄を見せつけられた。
去年、東京の迎賓館赤坂離宮を見学したが、
その時も「ほえ~、さすが国宝」と感嘆のため息の連続だった。
しかし、マフラはさすが世界遺産に登録されているだけある。
圧倒的なスケールと重厚感がこれでもかと迫って来る。

私がマフラで最も楽しみにしていたのは、
王宮内の図書館の見学だった。
けれど、そこに至るまでに通過した数々の部屋も見ごたえがあった。
大理石の床、精緻な調度品の数々に当時の栄華がしのばれる。

古いピアノはどんな音色で客人をもてなしていのだろう

第一目的だった図書館を堪能し、教会も見て、
見学時間はトータルで1時間半といったところ。
王宮の観光を終え、再びリスボン市内に戻る。
王宮前のバス停で「カンポ・グランデ」と表示されたバスの到着を待った。

グーグルの路線検索やRome2Rioで調べると、
リスボン(カンポ・グランデ)と郊外のエリセイラを結ぶバスは
本数はそこそこあるが、所要時間が異なる。
同じ路線でも停留所の数が少ない「急行」とそうでないものがあった。
行きは運よく「急行」に乗れたが、帰りはどうやら「鈍行」だった。
バスの揺れとともに時差からくる眠気が襲ってきて、
リスボンまでの距離がずいぶん長く感じられた。

眠気と闘いながら、無事スタート地点のカンポ・グランデ駅に到着。
時刻は夕方でも、空の色はまだまだ昼間だった。
リスボン到着1日目、バスに乗って郊外へミニトリップ。
たったこれだけのことだけど、
「なかなかやるじゃないか、私」独りごちた。

世界遺産だがゆっくり見学ができるマフラ宮殿はまさに穴場スポット


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