「支援学」(Helping)への招待 #2 - 支援とは、支援関係を築くこと
前回の記事で、人を助けたり、人から助けられたりすることは、誰にとっても日常的で大切な営みなのではないか?ということに触れました。
シャインさんは「支援」をどのように捉えているのか。まえがきの冒頭にさっそく示されています。
支援とは人間関係の基本であると言います。支援を提供する人と受ける人との間で、何かしらの物事を進めるための人間関係の基本形であると。私たちは、人に指示をしたり強制したりすることによっても物事を推し進める(長続きするかどうかは別として)ことができるが、支援は、人と人が何かを為すときの人間関係の基本形であるというのです。人を助けたり、人から助けられたりすることが、誰にとっても身近な行為であることを再認識させられます。
改めて考えてみますと、支援という言葉には、二つの意味が含まれていることが分かります。
一つは、支援とは、「人を助ける行為それ自体」を意味するということ。多くの場合、支援という言葉が意味するものは、ある人からある人に対して行われる、具体的な形での支援行為それ自体だと思います。
もう一つは、支援とは、「人を助ける行為が生まれ得るような関係」を意味するということ。役に立つ支援行為が生まれ得る人間関係を築くこと、それが人を助けることの本質である、という点が示唆されているようです。「支援すること=支援関係を築くこと」との主張は、この本の全体、もしくは、支援学全体を貫くシャインさんの重要なメッセージでもあります。
今回は、まえがきの文章から支援という言葉に込められたシャインさんの考えを探ってみました。次回は、「Chapter 1 人を助けるとはどういうことか」(書籍名と同じタイトルになっています)の内容から、支援とは何か?という問いをさらに深めていきます。
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