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「支援学」(Helping)への招待 #1

人を助けるとか、支援といった言葉から、どのようなイメージが浮かびますか?ボランティアや専門的な資格が必要な職業?余力がある時にできること?自分の仕事や日常生活とは関わりが薄いもの?でしょうか。

誰かと一緒に暮らしている人は、朝起きて相手の様子がいつもと違うことに気付いたら「よく眠れなかったの?」と声を掛けることでしょう。学校や職場で、友達や同僚から「何か手伝おうか?」と声を掛けられることもあるかもしれません。些細なことも含めれば、人を助けたり、人から助けられたりすることは、日常にあふれています。

生活をするにしても、仕事をするにしても、簡単には答えの見つからないことが、身の周りにはたくさんあります。誰かを助けたり、誰かに助けを求めたりすることは、生きている誰にとっても大切な営みだと思います。学生か社会人かや、どのような職業かに関わらず。

「支援」をど真ん中に据えて、その本質と方法を探究し続けた人がいます。アメリカのマサチューセッツ工科大学の名誉教授で組織行動論の専門家でもある故エドガー・H・シャインさんです。

この先の一連の記事では、シャインさんの著書『人を助けるとはどういうことか——本当の「協力関係」をつくる7つの原則——』(英治出版)の印象的な言葉に触れつつ、ほんとうは誰にとっても身近な「人を助けること」を考えてみたいと思います。

ちなみに、原著のタイトルは「HELPING: How to Offer, Give, and Receive Help」ですから、支援を提供するだけではなく、支援を受けることもテーマとなっていることが分かります。一方、日本語のタイトルは「How to」よりも「人を助けるという行為の本質を問う」表現となっていて、支援学の探究に向けた監訳者の意図と思いを感じます。

次回からは、実際に本の内容に触れていきたいと思います。

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