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要約: 誰のためのデザイン?|第1章 - 毎日使う道具の精神病理学
数多くのデザイン本で名前を目にする、ドナルド・アーサー・ノーマン著、「誰のためのデザイン?」を要約してみます。
「誰のためのデザイン?」は、日々接する製品が理解可能で使いやすく、人間のニーズを満たすことができるように、人とテクノロジーの相互作用に注目した本です。
製品との関わり方だけでなく、ありとあらゆる事象に転用できる素晴らしい本だと思っています。
第1章 - 毎日使う道具の精神病理学
良いデザインは悪いデザインより見つけにくい。
良いデザインは人間のニーズに合っているため見えにくいが、悪いデザインは、悪い点を自ら大声で叫び回っているので丸見えになってしまう。
良いデザインにおける特性は二つ。「発見可能性」と「理解」である。
「発見可能性」は、基本的な五つの心理学的概念から得られる。
1. アフォーダンス
2. シグニファイア
3. 制約(第3章で詳しく)
4. 対応づけ
5. フィードバック
6. 概念モデル(最重要であるとされる六つ目の原則)
アフォーダンス
アフォーダンスは、人と環境の間で起こりうるインタラクション(相互に作用すること)を意味する。アフォーダンスは性質ではなく関係性である。
ガラスは透かして見たり、物体を支えることをアフォードするが、空気やモノが通り過ぎることはアフォードしない。
目に見えるアフォーダンスはモノを操作するときの手がかりを提供する。
ドアに付けられた平らな板は押すことをアフォードし、
ノブは回すことをアフォードし、
小さな細長い穴は何かを挿入することをアフォードする。
知覚されたアフォーダンスのシグナル的要素をシグニファイアと呼ぶ。
シグニファイア
人々に適切な行動を伝えるマークや音、知覚可能な標識のすべてがシグニファイア。
道ばたのサインやラベルであったり、どの方向に動けばよいのかの矢印であったりする。
シグニファイアはデザインしたものの使い方を伝えるため、デザインにおいて、アフォーダンスよりも重要である。
ほとんどの場合、デザイナーはシグニファイアに注力すればよいのだ。
対応づけ
大きな部屋や講堂の電灯が、スイッチ部分とうまく対応していればその使い方を判断するのは容易である。
「自然だ」と感じられる対応づけはたくさんあるが、特定の文化に依存していることがあるので注意。縦方向の位置で強さや量を表すのが適切なのは、世界的に共通だったりする。
できることが全て目に見えていれば、そのモノは使いやすくなる。単純な原則ではあるが、デザインにはあまり取り入れられていない。
良いデザインをするには、人々の行動を熟慮することが必要である。
フィードバック
横断歩道の「歩行者ボタン」が本当に押されているか、不安になったことはないだろうか。この場合に欠けているのはフィードバックであり、フィードバックは要求に対してシステムが働いていることを知らせる手段である。
・フィードバックは素早いほどいい。
・フィードバックは豊かな情報を持っているほうがいい。
・貧弱なフィードバックは、フィードバックがないよりも悪い。
・フィードバックが多すぎると、少なすぎるよりもずっと困る。
・フィードバックは不可欠だが、他のことを阻害してはならない。
・押し付けがましくあってはならない。
フィードバックは大切であるが、正しく、適切に出されなければならない。
概念モデル
概念モデルは製品を使っている人の心の中にあるもので、モノがどう動作するかについてのその人の理解を表す。
概念モデルは機器そのものから推測できることが多い。人から人へ伝えられるものもあるし、製品のマニュアルから得られるものもある。概念モデルは経験によって構築される。
✂︎ハサミの例
・二つの穴は明らかに何かを差し込むためのもの。
・論理的に考えれば、そこに入るのは指しかない。
・これらの穴には指を差し込むというアフォーダンスがある。
・どこに指を入れればよいかを示すシグニファイアでもある。
・穴の大きさは、指を限定するための制約を示している。
ハサミは、機能する部分が目に見え、意味するところがわかりやすいので、概念モデルが明らか。
良い概念モデルがあると、自分の行為の結果が予測できる。
良い概念モデルが無いと、機械的にやみくもに操作しなくてはならない。
製品を理解しやすくできるかどうかはデザイナー次第。
第2章に続く
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