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「保護者面談」を充実させるための五つのポイント

7月の終わりに「保護者面談」を実施する学校があることと思う。

自分がこれまで「保護者面談」の際に大切にしてきたことを、五つにまとめてみた。

1 目的の確認

何のために「保護者面談」を行うのか。
それぞれの学校において、必ず「目的」が示されていることと思う。

そもそも、今「保護者面談」と表記しているが、この名称も学校によって、つまり目的によって異なるはずだ。
(従って、この「保護者面談」という表現も各学校の呼び名に読みかえていただきたい。)

だが、恐らくどの学校でも、「保護者面談」を教師から保護者に向かって一方通行に<話す・伝えるだけ>というものとは考えていないだろう。

それは大昔の教育観、学習観、学校観だからである。

今は、教師・学校と保護者(・地域)が力を合わせ、協同的に子供を育むという教育理念の共有を目指しているはずである。

それぞれの「保護者面談」の具体的な目的をまず確認していただきたい。

2 全人的な評価ではないことを自覚し、明示する

保護者に伝える内容は、あくまでも、
「学校という場での」
「指導の観点によって」
「<私>という教師の目を通してとらえた子供の姿」
であるということを教師が自覚し、保護者にも、例えば「学年通信」や「学級通信」で、しっかりと伝えておきたい。

教師だからといって「人間」を評価できるわけがないのだ。

ただし、だからといって無責任な評価で許されるというわけではない
保護者は、教師の言葉に、我が子の全てが評価されたと受け止めがちである。
「漢字が苦手です。」と伝えただけで、「我が子は、頭が悪い、国語ができない、努力や練習ができない子だという目で見られている」
と、感じてしまうものなのである。

伝える子供の姿は、その子のほんの一部分であることを前提としつつも、その一部分を教師である<私>が精一杯子供を指導して捉えた結果であるということをしっかりと示したい。

そのために、
「家庭・地域とは異なる<学校>という場で」
「お子さんは、こんな頑張る姿、素敵な姿を見せていましたよ」
という、保護者の知らない、「学校で指導をしている教師だからこそ捉えられたよさ」を伝えることを中核に据えたい。
私は、低学年、特に1年生ほどこの考え方を重視した。

3 具体的に伝える

だからこそ、「よい表れ」も「努力したい点」も、できる限り具体的に伝えたい。

その時押さえたいのは、

①どんな観点で捉えたかを伝える…その「観点」が、今求められている学力であることも大切。それが、新しい学力観への理解を得ることにも繋がる。

②向上的に変容してきた点を伝える…ただ、「これがよい表れです」と示すのでなく、
「4、5月頃は…だったが、
現在は~となった。
こんなふうに力がつき、こんなことができるようになった。」
のように伝えたい。

特に、「努力したい点」を伝える時は、
「以前よりはよくなってきているが、まだ…が苦手である」
と、伸びてきている部分を伝えながら、今後の課題を示したい。

③今後の方向性を具体的に示す…さらに、「努力したい点」を伝える時には、言っただけで終わることがないようにする。
学校では今後どのような指導をするのか、家庭では具体的にどんな取組をしたら効果が期待できるのかということまでしっかりと伝える。 

4 家庭での様子を聞く

ここまででは、教師からのワンウェイの「面談」になってしまう。

そこで、私は、
「学校ではこんな頑張り、様子だが、家庭ではどうか」
と、家での子供の様子を私は必ず伺った

保護者のその子の捉え方や教育観、願い等を知ることができる。
もちろん、家庭での子供の様子も掴める。

そして話を聞きながら、学校での表れと重なる部分や異なる部分を明らかにし、今後の協同的な支援の方向や具体的な方法を一つでも二つでも決められるといい。

教師と保護者が、<真ん中の>子供に対して、共通する見方や指導の方法、また役割の分担が少しでも見えてくるだけで大きな前進である。

5 精一杯 教師の捉えたその子のよさを伝えたい

「保護者面談」の目的は、一つ残らず正確に子供のことを保護者に伝えることではない。
その子がさらに前進していくための指導・支援・養育の手掛かりをつかむ、それ自体が「教育活動」なのである。

だから、そのエンジンを回転させるためには、伝える「よい表れ」と「努力したい点」の比率が、「8:2」くらいがちょうどよいと思ってきた。
子供・保護者によっては、「9:1」くらいの方が効果的だったように思う。

以上の「保護者面談」の五つのポイントが参考になれば幸甚である。